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奈良県立美術館 「磯江毅=グスタボ・イソエ」展

 今日は大雨ですね
 せっかく関西文化の日なので、美術館巡りに行こうと思っていたのですが、雨が苦手なので家でお休みです。
 というか、風邪をひいてしまって、仕事も一昨日とか休んでしまったので、無理できないんですけどね

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 ところで、今日紹介させていただく展覧会は、奈良県立美術館で開催されている「磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」展('11.10.22~12.18まで。観覧料1000円)です。
 少し前に観に行ったのですが、感想を書くのが難しくて逃避していました

 磯江毅は大阪市立工芸高校を卒業した後、19歳で単身スペインに渡り、以後スペインを拠点にグスタボ・イソエという名で活躍したリアリズム絵画の画家です。
 日本での活躍も期待されていたのですが、2007年に53歳という若さで病没されたそうです。

 私は今回の展覧会を通して初めてこの画家のことを知ったのですが、磯江毅の描き方は、細密画を通り越して緻密画で、「凄い・・・」と絶句してしまうほどです。
 同じ写実でも、その前に観た岸田劉生展とは対照的です。
 劉生と違って熱量が少ない。
 いえ、ものすごく時間と労力をかけて描かれたことはわかるので、実際にはものすごいエネルギーが注がれているのだと思いますが、磯江の完成した絵からは生の温もりがあまり感じられないのです。

 ものすごくリアルなのですが、人であっても彫刻ような冷たさを感じてしまいます。
 とくに色の少ない作品は。
 色がついている人物画は、その健康的な肌色から生きていることがわかるのですけどね。

 細かく細かく描きこんでいるので、作品を完成させるのに時間がかかっているため、対象となった果物や野菜も長い間そのまま置かれていて水分が失われているという物理的な理由もあるのでしょうが、静物画に描かれた果物や野菜もどこか萎れていて瑞々しさに欠け、やはり生気があまり感じられない。

      isoe3.jpg 
 いいなぁと思って観ていても、食材となった鶉(チラシ下段左)やウサギの絵をいきなり見せられて思わず引いてしまったりと、なんか観ていて体温が奪われるような展覧会でした。
 とはいえ、これは展示作品の並べ方にもよるのかもしれませんし、ウサギやトリなどの食材は、スペインの市場ではよく見られる日常的なものなので、スペイン人なら違和感を感じない絵なのかもしれませんけどね。
 
 磯江の対象を観る「目」は、冷徹で客観的だったのではないかと思います。
 物の全体を観るというよりも、細部の細部まで見通すという感じなので、生物であっても部分的な物質として見ているのではないかと思いました。
 ですが、全体像としては調和の取れた美しさがある。
 こんなにリアルなのに、写真とは明らかに異なってますし、物質をそのまま具象化しているというものでもありません。
 磯江は写実を通して何を描きたかったのかのヒントは、今回の図録の代わりになった「写実考」(3990円)に載っているのかもしれませんね。
 残念ながら、私は高くて買えませんでしたけど。

      isoe2.jpg
 ちょっと辛口の感想になってしまいましたが、まさしく超絶技巧でしたよ
 磯江のデッサンが載ってるこんな厚めのパンフもいただけますし、美術館では双眼鏡の貸し出しもありました。
 双眼鏡で見てみると、本当に細かく描かれているのがよくわかります。
 なんと、今日・明日(11/19、11/20)は、関西文化の日で無料で観れます。
 この超絶技巧は、やはり一度は観ておくべきだと思います。
 お見逃しなく

奈良県立美術館
 住所:奈良市登大路町10-6 TEL:0742-23-3968 
 開館時間:9時~17時(金・土は19時まで。入館は各閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/28~1/4)、展示替え期間
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Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
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