奈良学園前 大和文華館 「女性像の系譜」展('11.4.29 Fri)

この日は、奈良学園前の美術館3館も行ってきました。
行った順番は、松柏、中野、大和なのですが、いつもの如く会期終了間近の展覧会からということで、大和文華館から紹介させていただきますね


こちらでは「開館50周年記念特別展Ⅰ 女性像の系譜―松浦屏風から歌麿まで―」展('11.4.3~5.8まで。入館料900円)が開催されています。
絵画における女性像というのは、たいてい美人画だろうと想像していて、浮世絵を含めて美人画というのは好きなので楽しみに行ってきました

うん、やっぱり美人の概念も変わっていくのですね(笑)。
展覧会では、江戸初期から後期までの作品が年代順に展示されていたのですが、私の好みはやはり後期のものです。
江戸初期の作品は、重美の「阿国歌舞伎草紙」という作品の展示から始まって、「輪舞図屏風」という作品に続いていくのですが、この「輪舞図屏風」、文字通りみんなが輪になって踊っていてちょっと珍しいです。
前にもこの美術館で見た覚えがあるのですが、毎回構図が面白いなと思ってしまいます。
この後に出てくる松浦(まつら)屏風と呼ばれている国宝の「婦女遊楽図屏風」と同様に、江戸初期といっても安土・桃山時代の南蛮文化の影響を色濃く受けたと作品と思われます。
松浦屏風もしっかりした線で迫力があり、着物や小物、遊びなど当時の風俗が描かれていて面白いので要チェックですよ

先日、東淀川区を散策していた折に見つけられなかった江口君堂のある寂光寺に祀ってあった「伝江口の君図」に、こんなところでお目にかかることができるとは思いませんでした。
今度こそ、寂光寺を見つけて行ってみたいと思います


江戸中期に入り、西川祐信、円山応挙、長沢芦雪、山口素絢などの作品が展示されていました。
西川祐信の「柱時計美人図」(チラシ左図)、この時代で柱時計はおしゃれですね。
応挙、芦雪、素絢の3人の「美人画」は3枚並んで展示されていたのですが、応挙の「三美人図」は、私の感覚では美人と言うには難しく(笑)、芦雪の「美人図」はちょっと美人で、素絢の「梅下美人図」はかなり美人でした(笑)。
3枚並んでいるのですが、それぞれの女性に対する好みがわかるような。
応挙の周りには愛嬌のある女性たちしかいなかったのでしょうか(笑)。

江戸の後期になると、喜多川歌麿や鳥文斎栄之、葛飾北斎の作品展示になります。
その中でも、喜多川歌麿の美人画はやっぱり秀逸でした

「立姿美人図」は小物の傘が効いており、小粋な雰囲気を出しています。
チラシの中央を飾っている「納涼美人図」は、簪の数からいってもかなり高級遊女と思われますが、暑さのせいで少ししどけない姿が色っぽいです。
(この団扇は、京うちわですね、黒究。さん

「納涼美人図」の方が少し薄物ですが、「立姿美人図」と「納涼美人図」の着物の柄がよく似ています。
行かれる方は、比べてみてくださいね。
この展覧会の図録は2100円でした。
女性像の描き方は、人や時代によって変遷していきますが、着物の描き方はどの時代の作品も素晴らしいです。
ある意味、人間より着物の方が描き込みがしっかりしているとも言えます。
画家が自分の技術を存分に発揮させることができるのが、衣装だったのかもしれないと思いました。


美術館の庭(?)を歩いていると、八重桜はもう終わりに近く、花びらを苔の上に吹き散らして最後の美を見せていました

新緑が美しく、次の季節の植物たちの準備は万端のようですね

大和文華館
住所:奈良市学園南1-11-6 TEL:0742-45-0544
開館時間:10時~17時(入館は16時まで) 休館日:月曜(但し、祝日の場合は開館し次の平日を休館)、年末年始、展示替期間
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