奈良 松柏美術館 収蔵作品展Ⅱ「冬の世界」展('11.1.29 Sat)

松柏美術館では「冬の世界~自然に導かれた花鳥画家 松篁・淳之~」展('10.12.21~'11.1.30まで。入館料800円)が開催されています。
明日(1/30)までだったので、急いで行ってきました。

今回の展覧会は、タイトルどおり「冬」をテーマにした展覧会です。
まず最初に、父である松篁さんの作品の展示室があり、そして息子の淳之さんの展示になります。
冬の表現もいろいろあるのですね。
雪景色の中で羽を膨らませて泳いでいる姿は真冬の感じがしますが、雪の中を大きく飛び立っていく姿は春も近いような気がします。
観ていると、松篁さんと淳之さんは同じような主題の作品を描いたり、描き方もよく似ている作品もあるのですが、当たり前ですがやはり違いますね。
どちらも美しいのですが、松篁さんの冬と鳥の組み合わせの絵は、優美で静寂さを感じます。
たとえ2羽の鳥がいても、それぞれが凛として1羽ずつが光っています。
松篁さんの「丹頂」、1羽がすくっと立ち、もう1羽は体を丸めながら立っている対の丹頂鶴を描いた作品なのですが、1羽ずつがそれぞれ冬の中で生きる強さが感じられる孤高の美しさがある作品です。
一方、淳之さんの絵は鳥が鳴いている姿が少なくなく、仲間で冬を乗り切るという感じで、音のある温かい印象を受けました。
同じ丹頂鶴を描いた淳之さんの「丹頂鶴」は、2羽の鶴はつがいという感じで、冬であっても2羽が一緒なら乗り切れそうな優しい印象の作品でした。
松篁さんの「狐」と淳之さんの「初めて冬」は、対になっているような作品でした。
松篁さんの狐が親狐で、淳之さんの狐が子どもの若狐です。
大人になって独り立ちした若い狐2匹は、初めての冬に心細くなって鳴いています。
それを聞いた親狐が心配そうに振り返るのですが、戻ることをせずに進んでいきます。
そういった状況が想像できる2枚の作品でした。
もちろん、松篁さんの作品が先で、淳之さんの方が後から描いた作品なのですが、親子の絆が感じられ、淳之さんは松篁さんを尊敬し、大切に思っていたのだなと思いました。
この他の作品もどれも美しく良かったですよ。
今年の絵付き年賀状のデザインになった松篁さんの「兎Ⅰ」の展示もありましたし、淳之さんの「鵲(かささぎ)」は鳥の青と松の緑が美しい作品でしたので、行かれたら是非チェックしてくださいね。
そうそう、松園さんの作品も「化粧」、「人形つかい」、「鼓の音」、下絵の「待月」と「雪月花」が展示されています。
完成作品の3枚は、この前の「上村松園展」に展示されていたものです。
また観れて良かったです。
寒い冬は苦手なのですが、冬の美しさと温かみの両方が感じられる展覧会でした

良かったですよ。

外に出ると少し雪が降ってきました。
まだ寒いですが、梅がほのかに咲いています。

でも、まだ椿の季節ですね

松柏美術館
住所:奈良市登美ヶ丘2-1-4 TEL:0742-41-6666
開館時間:10時~17時(入館は16時まで) 休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替期間('11.2.1~2.7まで)、臨時休館あり
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