大阪難波 高島屋 「河井寛次郎~生命の歓喜~」展

大阪難波の高島屋で「河井寛次郎~生命の歓喜~」展('11.1.19~1.31まで。入場料800円)が開催されており、観てきました。
昨年の2010年が河井寛次郎の生誕120年だったみたいで、その記念として陶芸はもとより、木彫りや家具、真鍮のキセル、書、そして寛次郎と交流があった人たちの作品も含めて約180点の展示で、寛次郎の全貌に迫る展覧会になっていました。
「河井寛次郎ってよぉわからへんから、あんまり興味ないなぁ」と思っていたのですが、この展覧会を観て寛次郎に対するイメージが変わりました。
この人、ものすごくまじめな人だったのではないでしょうか。

初期は、東京高等工業学校(現東京工業大学)窯業科で学び、学校卒業後は京都市立陶芸試験場に入所し、濱田庄司とともに1万種以上の釉薬の研究をしています。
1万種ですよ!すごいです。
色も形も美しい作品がいっぱいで、寛次郎ってこんなきれいな作品を作っていたのだと思いました。
私の知っている寛次郎の作品は、意味のわからない変わった形の作品ばかりだったのでね(笑)。
とくにピンク地に青系の模様の作品などはきれいでした~。
それが柳宗悦と出会うと、「自分の作品は衣装であり化粧であり、中身の体はどうしたのか、心がけはどうしたのか」と思い、民芸運動に傾倒していき、日用品を作るようになっていきます。
作風が自由で伸びやかになってましたが、色も形も華やかさが薄れ、地味になっています。
第二次世界大戦後は、世界の民族芸術に関心を深めていき、木彫りの制作を始め、陶芸作品は色などより形の探求になっていきます。
アフリカのマスクや縄文土器を連想させる原始的な力を感じる作品もありました。
私の知っているわけのわからない作品は、この頃のものみたいでした(笑)。
そして後期になると、この人は詩人か?と思うような精神的な作品を作っていきます。
チラシには「心に響く生命の歓喜そのものです」と書いてありましたが、私にはそういった意味はよくわかりませんでしたが、なんとなく大らかな作品だなとは思いました。
両手に珠をモチーフにした河井寛次郎の作品を今までにも何回も見たのですが、それがこの頃の作品です。
この展覧会では、「木彫像・双手に玉」、「拓本・此世このまま大調和」、「黒釉双手陶板・手読足解」など違う素材で同じモチーフの作品が展示されていました。

河井寛次郎は、接した人からの思想や意見に対し、まじめに向き合う人のようですね。
その結果、作品が変遷していったのだと思います。
写真を見ても、まじめそうな印象ですものね。
チラシにも書いてあるように、文化勲章も辞退し、生涯陶工であり続けようとしたのもそのまじめさゆえであるように思います。
私は、たとえ衣装や化粧であっても見栄えの良い美しい初期の作品が好みですが、寛次郎はそれを良しとせず、本体の向上を図って深く精神性を追求していきました。
私にはその本体の良さが理解できませんが、今回の展覧会を観て寛次郎の人柄は理解でき、作品も以前ほどわからないという印象はなくなりました。
やはり作品の背景を知ると、見ただけの印象の時より作品自体も少しはわかるようになりますものね。
ということで、これからはもう少し興味を持って河井寛次郎の作品を見れそうです

図録2000円でした。
河井寛次郎の全体像を知ることのできる展覧会だったと思います

大阪の展覧会は1/31で終了ですが、この後、京都高島屋('11.4.20~5.5)、高島屋名古屋店('11.5.19~5.29)と巡回するみたいですよ。
興味のある方は行ってみて下さいね

大阪高島屋
住所:大阪市中央区難波5-1-5 TEL:06-6631-1101
開場時間:10時~20時(最終日は17時まで。入場は各閉場の30分前まで)
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