国立国際美術館 「ウフィツィ美術館自画像コレクション」展

まだ昨年の話なのですが、クリスマス頃だったと思うのですが、大阪中之島の国立国際美術館で開催されている「ウフィツィ美術館自画像コレクション」展('10.11.27~'11.2.20まで。観覧料1400円)を観てきました。


この展覧会、面白かったですよ~。
今回は、イタリア・フィレンツェにある有名な美術館のウフィツィ美術館が所蔵する約1700点の自画像コレクションの中から選ばれた70点の展示です。
この美術館の自画像コレクションは、1664年にメディチ家のレオポルド枢機卿が、画家の絵と画家自身の顔の両方を知りたいということで自画像の収集を思いつき、欧州各地の信頼できる代理人を通じて集めだしたのが始まりだそうです。
メディチ家が断絶した後も、コレクション内の自画像が評判になったことから、多くの画家がコレクションに加わることを望み、寄贈していったこともあり、現在でもコレクションは増えているみたいです。
日本で自画像コレクション展が開催されるのを記念して、ウフィツィ美術館は草間弥生、横尾忠則、杉本博司の3人に自画像制作を依頼したそうです。
今回の展覧会では、もちろんその「新作」も展示してありました。
展覧会が終わったら、フィレンツェの「ヴァザーリの回廊」に飾られるのですかね。
日本人は、藤田嗣治以来じゃないですかね。すごいですね~。
で、この展覧会の何が面白いかというと、「自画像」という題材を用いても、その画家の「らしさ」がよくわかる作品になっているところではないでしょうか。

バロック時代の彫刻で有名なベルニーニの自画像は、一見穏やかそうですが、物事のドラマティックな瞬間を見逃さない目は、少し横からですが、見ている私たちの方が観察されているような気がするほど、こちらを見つめてきます。
シュトゥックは、ミュンヘン分離派の創始者の1人ですが、自画像も分離派っぽいデザイン性も取り入れた作品になっています。
シュトゥックの絵は、ファム・ファタル的な美女を多く描き魅惑的なのですが、自画像もその美女に負けないほどカッコイイ

シャガールは、自画像でも鶏と大好きな奥さんのべラをまるで帽子のように乗せてますし、明るい色使いの絵を描くレジェの自画像は、明るくノーテンキなおじさんという感じです(笑)。

デ・キリコは、自画像も暗い色調でちょっと哲学者風です(笑)。
現代作家になると、自画像の概念すら独自の解釈になって、「これ自画像?」って感じのもあります(笑)。
フォンターナ(ルーチョ)なんて、四角いキャンパスに菱形みたいな四角が描いてあって、その中に「私はフォンターナ」って字が書いてあるんですよ(笑)。
中には、自分のイニシャルの「A・T」のみの人も(アントニ・タピエス作)。
今回依頼された、横尾忠則の作品は、日本地図と日の丸の間から、立体的なライフマスクが取り付けてありましたからね(笑)。
なかなか面白かったです。
この他にも、ヨハンネス・グンプ、アンニーバレ・カラッチなどは構図が面白かったですし、モーリス・ドニや藤田嗣治など、知っている画家、知らない画家を含めて気になる自画像がいっぱい。
ただ、もう少し展示数が多かったら更にうれしいのですけどね。
図録は高めの2500円です。
各画家の通常の作品と自画像を並べると更に楽しいでしょうね。
レオポルド枢機卿の思い付きは正しかった!と拍手を送りたくなるような展覧会でした

美術ファンにはオススメの展覧会だと思います

国立国際美術館
住所:大阪市北区中之島4-2-55 TEL:06-6447-4680
開館時間:10時~17時(金曜は19時まで。入館は閉館の各30分前まで) 休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日休館)
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