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映画「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」

 ちょっと以前に観た映画なのですが、まだ記事にしていなかったので紹介させていただきますね。

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 「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」('10年22本目)は、ジョン・レノンの若かりし頃を描いた映画です。
 映画は、ジョン・レノンが伯母のミミに育てられているところから始まります。
 ジョンは中学生ぐらいで、しつけの厳しいミミに対してまだおとなしく言うことを聞いていますが、もっと自由にしたいと不満がいっぱいです。
 そんなジョンとミミの間に入って、クッションとなっていたのがミミの夫であるジョージ伯父さんです。
 この伯父が突然亡くなることがきっかけで、実母ジュリアがジョンのすぐ近所に住んでいるということを知り、ジョンが実母を訪ねることから、ジョンとジュリアが急速に接近していきます。

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 この母が、息子を自分で育てなかったという負い目からか、ジョンにめちゃ甘い。
 思春期の男の子が、自由な生き方を認めてくれる実母に惹かれるのは当然で、おかげでジョンは崩れる、崩れる(笑)。
 それに対して、しっかりとした人間に育てようとした伯母のミミは、感情を表に出すことが苦手であることと、実母でないという意識からか、苦々しく思いながらもジョンに対して今までのように強く言えない。

 実母に甘えながらも、母はこんなに自分を愛してくれているのなら、なぜ自分は伯母に育てられることになったのかという疑問をもち、その理由を2人の母から聞きます。
 かくして、若かりし日のジョン・レノンは、相反する2人の母の間で葛藤し、真実を知ることで、2人の母を赦し、落ち着いていきます。
 また、2人の母親も、率直に話すことにより和解していきます。
 そんな中、実母が突然事故死してしまいます・・・。
 
 この映画は、当然ジョン・レノンが主人公なのですが、なんか私は伯母のミミの立場で観てしまい、ジョンの青春ドラマというより、育ての親の悲哀を感じてしまいました。
 やっぱり、子どもにとって育ての親より産みの親の方がいいんですかねぇ?
 もちろん子どもを産むことは大変なのですが、育てる苦労の方がしんどいと思うのですが。
 その苦労を人任せにして、大きくなった息子を恋人のようにかわいがるなんて、なんかおいしいとこどりのような気がして、そんな実母を慕うジョンも勝手なジュリアにも腹立たしく感じました。
 ジョンは実母と一緒に暮らせないとわかると、ちゃんとミミの家に帰ってくるので、ジョンはミミなら許してくれると本能的にわかっているのですけどね。
 その絶対的信頼感は、長年育ててくれた親だからこその信頼感なのでしょうが、そんな甘え方でも実際の育ての親ならうれしいのかどうかわからなかったので、観ている私は「勝手な奴っちゃ。そんなに実母がいいなら帰ってくるな」と思いましたが(笑)。 

 子どもは実母を慕うものなのでしょうが、育ての親は実母以上の愛情がないと子どもを育てることができないということがミミを通じて伝わってきました。
 ジョンはその後、大人になってミミを大事にしたということだったので、そのことを理解するのは子どもが大人になるまで待たないといけないんでしょうね。

 映画は、ジョンの揺れる心と音楽にのめりこんでいく状況をうまくからませ、ビートルズ結成につながっていく下地も描いています。
 なかなかよくできた映画だったと思います。

ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ 2009年 イギリス・アメリカ ギャガ サム・テイラー=ウッド監督 98分
 子どもってほんのちょっとの時間で堕落するのねと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:67点 
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