東京・横須賀美術館巡り③ 国立西洋美術館('10.12.18 Sat)

18日の話に戻りますが、東郷青児美術館の後に向かったのは、国立西洋美術館です。

こちらでは、「アルブレヒト・デューラー版画・素描展-宗教・肖像・自然-」('10.10.26~11.1.16まで。観覧料850円)が開催されています。
デューラーは、ドイツ北方ルネサンス期の有名な画家です。
デューラーの1500年の「自画像」をミュンヘンのアルテ・ピナコテークで観て、あまりに精緻な描写に一目でファンになりました。
今回は、そのデューラーの版画・素描約157点の展示だったので楽しみです。

展覧会は、デューラーの書いた芸術理論書「絵画論」を元に、宗教・肖像・自然のコーナーに分かれて展示されています。
展示されている作品の6割ぐらいが「宗教」に分類されていました。
正直言って、私はキリスト教の宗教観を知らないので、描かれている題材やテーマがわかりませんし、色もモノトーンの世界だし、この前のブリューゲルのような面白さもないし、美しいという作品でもないので、あまり興味がひかれませんでした。

ですが、肖像コーナーは面白い!
さすがはデューラーだと思う作品が目白押しです。
どれも目に力があり、ちゃんと生きた人間を描いています。
それにものすごく緻密な描写ですね。
私はデューラーのこういう絵が好きなのです。
「ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公」という作品なんて、目に映っている窓の桟まで描かれているのですよ

すごいですね~

自然コーナーは、純粋な自然を描いているのではなく、「アダムとイヴ」のように宗教を題材にした自然感みたいな絵が多いです。
このコーナーの作品には、物語性も感じられ結構面白かったですよ。
「メランコリアⅠ」は、謎だらけの絵として有名で、こういう絵だと観ていても面白いと感じるのですけどね。
デューラーが描いた絵には、鳥居のような形のAの中にDが書かれたデューラーのモノグラムがサインとして書かれています。
日本の絵馬みたいなものもあるのですよ。
デューラーのモノグラム探し、楽しいですよ

図録は2300円でした。
作品解説も多く良かったのですが、やっぱりもう少し安くして欲しいです。
デューラーの絵は、やっぱり肖像画がいいなと再認識した展覧会でした。
ただ、デューラーの版画と素描をこんなに一度に観る機会もあまりないので、貴重な機会だったと思います。
企画展の後は、常設展にももちろん行きました。
14世紀~20世紀絵画まで揃っており、さすが日本を代表する西洋美術館だけあり、コレクションが充実しています。
ここは写真禁止マークが付いていなければ、撮影OKです。
数ある名画の中から今回選んだ2枚はこちら。


写真左は、ダンテ・ガブリエル・ロセッティの「愛の杯」。
写真右は、ジョン・エヴァリット・ミレイの「あひるの子」です。
昨日、ラファエル前派展の紹介をしたので、ラファエル前派つながりで選んでみました(笑)。
このロセッティの「愛の杯」は油彩なのですが、レプリカとして水彩も3枚描かれているようです。
そのうちの1枚が横須賀美術館のラファエル前派展に来ていましたが、私は西洋美術館の「愛の杯」の方が好きですね。
「愛」というだけあって、杯の柄も後ろの蔦の葉の形もハートの形をしていますので、見てみてくださいね

ミレイの「あひるの子」は、この女の子はちょっと表情が暗めですが、このままでも十分かわいいと思うのですが、これからどんどん美しく変身することをタイトルは表しているのでしょうね。
画面手前には、ちゃんとあひるも描かれているところが面白いです

デューラーのモノクロの抑制の効いたシブい世界と常設展の色とりどりの美しい名画の世界、どちらも楽しめた国立西洋美術館でした

国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7 TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時半(金曜は20時まで。入館は各閉館の30分前まで) 休館日:月曜(祝日又は祝日の振替休日となる場合は開館し、翌日の火曜日が休館の場合は開館し、翌日の火曜日が休館)、年末年始(12/28~1/1まで)
スポンサーサイト