京都 銀閣寺(慈照寺)秋の特別公開('10.11.30 Tue)

曼殊院を出た後、向かった先は銀閣寺です。
銀閣寺に入ったのは、もう何年も前なので久しぶりの拝観です。

京都の中でも超有名なお寺なので、観光客、修学旅行生も含め、たくさんの人で賑わっています。
受付で拝観料500円を納めて中に入らせていただきました。

庫裏の前を通っていくと、きれいな白砂のお庭の銀沙灘(ぎんしゃだん)が広がっています。
ちょっと先に進んで後ろを振り返ると、銀閣と盛砂の向月台(こうげつだい)が見えます。
ここで少し銀閣寺の説明をさせていただきますね。
以前、承天閣美術館の時もお話しましたが、銀閣寺は臨済宗相国寺の山外塔頭です。
1482年室町幕府8代将軍足利義政によって、隠遁生活を過ごすための山荘として東山殿が造営されました。
義政が亡くなった後、その菩提を弔うため東山殿をお寺に改めて、相国寺の末寺として創始されたのが慈照寺です。
正式名は東山慈照寺(とうざんじしょうじ)ですが、金閣舎利殿を模して造営した楼閣建築である観音殿を銀閣、観音殿を含めた寺院全体は銀閣寺と呼ばれています。
観音殿が銀閣と呼ばれるようになったのは、江戸時代以降のことらしいですけどね。

銀閣(観音殿)は重層、宝形造、杮葺で、平面は長方形で正面8.2メートル、奥行7.0メートルだそうです。
中には入れず、外からのみの拝観になります。
金閣のように銀箔が貼られていたという事実はないそうですよ。

この美しい砂の庭は、銀沙灘(ぎんしゃだん)といい、今のような形になったのは江戸時代後期だそうです。
砂の高さ、結構ありましたね。
毎日作るのではなく、崩れてきたら直していくのですって。

こちらの建物は本堂(方丈)です。
もう終わってしまったのですが、私たちが訪れた時は秋の特別公開期間('10.9.18~12.5まで)で本堂、東求堂(とうぐどう)、弄清亭(ろうせいてい)がガイドツアーで見学できましたので、それに参加しました(別途1000円)。
本堂の中には、与謝蕪村、池大雅の襖絵があります。
いつも公開していないせいか、きれいに残っていますね

どちらの絵もせせこましくなく、楽しい雰囲気が伝わる絵だったのですが、面白かったのが蕪村の「棕櫚に叭叭鳥図(しゅろにははちょうず)」という襖絵です。
8羽だったかの鳥が描かれているのですが、鳥が8羽いるのではなく、1羽の鳥が羽ばたいていく様子をコマ送りで描かれているそうで、入って右下の鳥から順に左の方に目を動かすと、アニメーションのように1羽の鳥が飛んでいるように見えるのですよ。
特別公開は、年に何回かはこれからもあると思いますので、行かれたら、是非、人がいない時にそのような方法で見てみてくださいね


本堂の次は、東求堂(国宝)の見学です。
東求堂の仏間だったと思うのですが、足利義政と妻の日野富子のご位牌がありました。
ご夫婦なので、一緒のところにいらっしゃるのは当たり前なのですが、応仁の乱の原因になったお2人が並んでられるのはちょっと不思議な気がします。
京都で「先の戦争」といえば、第二次世界大戦ではなく、応仁の乱のことを指すという話は有名で、それほど応仁の乱で京都の町は大被害を受けましたし、お2人の仲が悪いというお話も有名ですのにね。
東求堂の奥には、義政の書斎があります。
書斎の北側に設けられた付書院と違棚は現存最古の座敷飾りの遺構であり、書院造の原型といわれているそうです。
大きさは4畳半で、この4畳半の部屋に炉があったことも確認されており、この建物が茶室の始まりであり、4畳半の始まりであり、書院造の始まりなんだそうです。
書院なので、付け書院に置かれているものは全て文房具のみで、置かれている文房具の配置も決まっているそうです。
違い棚は、茶碗や花瓶、花などが置かれ、こちらもその形式が決まっているそうです。
これらが後の東山文化として発展し、茶道、華道、香道の源流になったそうです。
私にはあまりよくわかりませんが、日常生活のひとつひとつに対して美を決めていくなんて、すごい美的感覚ですよね


こちらは袈裟形手水鉢です。
四面全部が違う模様だそうですが、なぜか半分しか写真に撮ってません

特別拝観の最後は、弄清亭です。
こちらの襖絵は奥田元宋の画なのですが、この襖絵、もの凄く美しかったですよ

この襖絵は、奉納される前に大阪なんばの高島屋でも完成記念の展覧会が開かれ、そこで1度観ているのですが、やはりお堂の中で観ると雰囲気が違いますね。
部屋の狭さが良い方に作用して、美しい自然の中にいるような錯覚を覚えます。
また色がとても明るく美しいのです。
本当に立ち去りがたいような美しさでした。
機会がありましたら、是非観てみてくださいね。
良かったですよ


特別拝観を出た後、すこし小高い山に登って展望所に行きました。

良い景色です。
銀閣や銀沙灘も見えます。

途中に義政が愛用した「お茶の井」跡がありました。
きれいな水でした。

このお寺は、いつ来ても人がいっぱいですが、人気なのもうなづけるお寺でした。
とくに特別公開のガイドツアーで案内される場所は、襖絵などがどれもすばらしく、また、東求堂や本堂からみる銀閣やお庭も美しく、足利義政の美意識が感じられました。
良かったですよ

銀閣寺
住所:京都市左京区銀閣寺町2 TEL:075-771-5725
拝観時間:冬季(12/1~2月末日)9時~16時半、夏季(3/1~11/30)8時半~17時
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