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伊丹市立美術館 「直視せよ!オットー・ディックスの版画」展

 ここ3日間ぐらい毎回「明日までです」と書いてきましたが、今回は会期終了まで少しだけゆとりがあります。
 といっても、ほんの少しだけですけどね(笑)。

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 今回紹介するのは、伊丹市立美術館で開催されている「直視せよ!オットー・ディックスの版画 戦争と狂乱ー 1920年代のドイツ」展('10.11.3~12.19まで。入館料500円)です。

 実はこの展覧会、結構早くに観に行ったのですが、感想が書きにくくてずっと後回しにしていたら会期終了間近になってしまい、今もまだ困ったなと思ってます

 オットー・ディックス(1891-1969)は、20世紀ドイツを代表する画家の1人だそうです。
 ドレスデンで美術を学んでいたのですが、第一次世界大戦に従軍。
 そこでの体験があまりにショッキングだったためか、画家のトラウマになり、それを吐き出すかのように生々しい戦争体験の描写の絵を描きます。
 今回の作品は、その時の版画90点の展示です。

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 まるで悪夢を見せられているようで、見ているこちらの気持ちも作品と同じように黒く暗くなっていくような気がします。
 その世界が作り物だったらいいのですが、そこに描写されていることがあまりにリアルなので、とても作り物だと思えず余計に重さがのしかかってきます。
 現実が死と隣り合わせ。
 死の恐怖から逃れるため欲するのは生の証。
 それがまた狂気につながっていく・・・。
 
 こんなことが現実に起こったら、悪夢にうなされるのは当然で、それを吐き出さずにはいられなかったディックスの気持ちがよくわかります。
 戦争反対と声高に叫ぶよりも、戦争の醜さ、残酷さ、悲惨さが重く伝わる展覧会でした。

 伊丹市立美術館は、いつもほのぼのとしたテーマの展覧会が開かれているので、このような怖い内容の展覧会を開いてどうしたんだろう?と思ったのですが、ほのぼのとした展覧会を楽しめるのは、世の中が平和だからでしょう。
 この平和を大切にしなければ、というメッセージがこめられているのかなと思いました。

 それにしても、しんどい内容だったな~

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 ディックスの展覧会場を出ると、同じ敷地内で、きれいな酒器の展覧会が開催されていました。
 「酒器・酒盃台 2010伊丹国際クラフト展」('10.11.13~12.23まで。)です。
 それを見ると心底ホッとしました。
 いろんな色や素材使った酒器が盛り沢山に展示されており、どれもかわいく美しく、パッと黒雲が晴れたみたいな気がします。
 やっぱり美しいものは、気持ちを明るくしますね

 ottodix5.jpg ottodix6.jpg 
 同じく敷地内の柿衞文庫では、伊丹が生んだ孤高の俳人「鬼貫の全て」展も開催されていました。
 こちらも12月19日までです(入館料700円)。
 興味のある方には、面白い展覧会かもしれませんね

伊丹市立美術館 
 住所:伊丹市宮ノ前2-5-20 TEL:072-772-7447
 開館時間:10時~18時(入館は17時半まで)、休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始、展示替期間
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Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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