京都文化博物館 「カポディモンテ美術館展」

泉屋博古館の後にやってきたのは、京都文化博物館です。
こちらでは、「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館」展('10.10.9~12.5まで。入場料1300円)が開催されています。
エレベーターで上ると、CMでもよくやっている謎の美女アンテアの大きな看板がいきなりあります。
写真を撮ったのですが、ちょっと光の反射が写ってしまいましたね。
この展覧会は、イタリア・ナポリにあるカポディモンテ美術館の名品約80点からなる展覧会です。

メインは、やっぱりこのパルミジャニーノの「貴婦人の肖像(アンテア)」です。
モデルは誰かわからないそうですです。
確かにこの女性、かなりの美人さんです。
こちらを真正面から見つめてくるので、ドキっとしますね。
ですが、かなりかさばっている服を着て、少し彼女の体の右側を前に出しているせいか、小顔の割には体がごつい。
手袋をしている右手なんか、すごく大きいのです。
その上、毛皮のテン(?)は、まるで生きているように歯をむき出しにしています。
女性の胸元も結構開いているのに、顔だけが上品で端整なんですよね。
美しいけれど、なんとなく異質で不思議な感じのする絵です。
パルミジャニーノは、もともとマニエリスムの代表画家の1人なので、一筋縄ではいかないのかもしれませんね。

「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」で有名なグイド・レーニの作品、「アタランタとヒッポメネス」も良かったですよ(チラシ上部の作品)。
運動神経抜群アタランタと結婚するために、ヴィーナスから授かった三つの黄金の林檎を競走中に投げるヒッポメネス(男性)と、その林檎を拾うために走るのを中断するアタランタ(女性)を描いた絵ですが、ヒッポメネスの肌の色は活き活きとした赤味がありますが、アタランタの肌の色は死人のように青白い。
それだけでも、どっちが勝ったかわかります。
自分の結婚がかかっている勝負に、油断は禁物ですよね。
黄金の林檎は、勝負の後に取りに行かなくっちゃ(笑)。
それにしても、運動能力が自慢のアタランタは、足も腕も同じぐらいの太さです。
グイド・レーニのアタランタは、なかなかたくましい体をしていました(笑)。
アルテミジア・ジェンティレスキの「ユディットとホロフェルネス」もすごかったです(チラシ右下の作品)。
ユディットともう1人の女性とでホロフェルネスの首を斬っている絵ですが、血の色などがかなりリアルです。
この画家は、17世紀の女性画家です。
アルテミジア・ジェンティレスキが女性であることと、この絵のことは以前から知っていたのですが、彼女に起こった出来事は知らなくて、この時代に女性画家というのはそんなに多くなく、男性に負けまいとして男性以上に残酷な絵を描いたのかなと思っていたら、実は師匠にひどい仕打ちをされて、そのトラウマ解消にこの絵を描いたのではないかと言われているそうです。
裁判で相手の男はそんなに罰を受けなかったようですが、この絵を観たら自分の首筋が寒くなったでしょうね。
アルテミジア・ジェンティレスキの強さが出ている絵だと思います。
フランチェスコ・グアリーノの「聖アガタ」も怖い絵でしたよ。
胸を切られ血まみれになりながらこちらを見ている顔は、切り取った者に「これで気が済んだか!」と言っているようでした。
そのくせ、相手を憐れむような表情も見え、切り取った者は余計に嫌な気分になったでしょうね。
いや~、この展覧会、なかなか濃い絵が多かったです。
中世イタリアの少し暗い部分を垣間見たような気分になりました。
京都文化博物館
住所:京都市中京区三条高倉 TEL:075-222-0888
開館時間:10時~18時(金曜19時半まで。入場は各30分前まで) 休館日:月曜(祝日の場合は翌日休館)
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