京都 泉屋博古館 「住友コレクションの日本美術」展

泉屋博古館創立50周年記念最後の展覧会は、「住友コレクションの日本美術」展です('10.10.23~12.5まで。入館料730円)。

日本美術といえば、私はすぐ近代絵画を連想するのですが、こちらのコレクションは「お茶」を中心にして集められた美術品のようです。
茶碗や茶入などの茶道具をはじめ、茶席に掛けるような掛軸、お部屋に置いてある香合や蒔絵の硯箱など、こじんまりとして品が良い品々ばかりでした。
どれも美しかったのですが、私の好みはやはり絵画です。

その中でも今回特に観れて良かったと思ったのは、展覧会のチラシにもなっている伊藤若冲の「海棠目白図」です。
1本の枝に目白が10羽も止まっており、そのうち9羽がギュウギュウに並んでおり、まさに「目白押し」状態です(笑)。
同じ枝ですが、1羽だけその群れから離れたところに止まっているのは、列から押し出されて拗ねているのでしょうか。
その様子を、違う種類の鳥1羽がまるで覗き込むかのように上から見ています。
これから参戦を目論んでいる(笑)?
木は花爛漫。
木蓮の花びらは白い輪郭線だけで描かれており、花びらの真ん中の部分は地の色をそのまま活かしているので、まるで透き通っているように見え、花のたおやかな美しさが表現されています。
春らしい、優しい愛らしい絵ですね。
若冲の良さがでている作品だと思いました

重文の「是害坊絵巻」も面白かったです

唐の天狗・是害坊(ぜがいぼう)が、自分の強さを自慢に日本にきたのですが、比叡山の天狗に法力比べで負け、介抱までされ、送別会を開いてもらって帰るというお話。
何しに来たのやらと、クスッと笑ってしまいました。
天狗たちの絵の動きも楽しかったです。
絵ではないのですが、「稲田鶴蒔絵硯箱」は、金蒔絵に螺鈿で美しい!
螺鈿はポイントのみなので、余計に映えます。
とくに玉虫色のポイント螺鈿がきれいでした。
琵琶の細工も良かったですし、行かれた方はこの硯箱、見てみてくださいね

日本美術は約40点と、そんなに数は多くないですが、落ち着いた良質のコレクションでした。
これで、泉屋博古館創立50周年記念の展覧会シリーズをすべて観たことになるのですが、住友コレクションは総じて上品で趣味が良い印象を受けました。
美しいけれど華美でない、それが住友家の美意識なのでしょうね。
良いものを見せていただきました

泉屋博古館
住所:京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24 TEL:075-771-6411
開館時間:10時半~17時(入館は16時半まで) 休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌日代替休)、展示替期間(7~8月、1月~2月)、展覧会の会期中にも臨時休館日がある場合有り。
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