奈良特別御開帳巡り⑤ 十輪院('10.10.23 Sat)

頭塔の次に向かったところは、十輪院(じゅうりんいん)です。
毎月8のつく日だけ開扉される護摩堂が'10.10.10~11.14まで公開されているのです(拝観料500円)。
この写真の南門は、鎌倉時代の作で重文に指定されているそうです。
鎌倉時代らしく、あっさり、すっきりしている門ですね。
こちらのお寺は元正天皇の勅願寺で、元興寺の一子院と言われています。
宗派は真言宗醍醐派で、開基は吉備真備の長男、朝野魚養(あさののなかい)と伝えられているそうです。
吉備真備も今北斗七星や年の前半、大遣唐使展などでよく取り上げられた人物ですが、長男の朝野魚養自身も能書家と知られ、空海の書の師とも言われているのですって。
弘法大師空海の書の師匠だなんて、すごいですね。

護摩堂と本堂、どちらも拝観できるのですが、先に本堂から拝観させていただきました。
こちらの本堂も鎌倉時代前期の作で、国宝だそうです。
この本堂の中がすごい

木造の本堂の中に「石仏龕」(重文)があるのです。
龕(がん)の中央奥に、浮き彫りの御本尊地蔵菩薩さま、その左右に釈迦如来さま、弥勒菩薩さまがいらっしゃいます。
浮き彫りといってもしっかり彫られており、美しいです。
石仏龕の中の仏さま以外に、まるでカツラをかぶっているような五劫思惟阿弥陀仏像やかわいい誕生釈迦仏像なども見せていただけます。
いろいろ見せていただいた後、また石仏龕を拝ませていただいたのですが、やはりなんか不思議な雰囲気を醸し出していました。

今回特別公開の護摩堂です。

不動明王及び二童子立像が安置されています。
こちらのお不動さまは、力強いですが、端整な美しさを持っています。
智証大師円珍作と言われています。
円珍さんは、三井寺(園城寺)の宗祖で、三井寺の有名な「黄不動」も円珍さんが感得されて作られたものです。
その円珍さんのお不動さまなので、ご利益高そうです。
昔から「一言不動尊」として、信仰を集めているのもわかりますね。
護摩堂の中には智証大師像もちゃんと安置されていましたよ。

お庭には、藤袴が咲いていました

石造物もいくつかありました。


お不動さま(左)と菩薩さま(右)です。


こちらは興福寺曼荼羅石です。
興福寺境内の諸堂安置の尊像が彫られているそうです。
1180年の興福寺の火災以前の配置が描かれているそうです。

鎌倉時代の十三重石塔もありました。
魚養の墳墓「魚養塚」もあり、横穴の奥に仏像の浮き彫りもされていたのですが、お墓だと思うとちょっと写真を撮るのは憚られました。
本堂の石仏龕といい、お庭の石造物といい、この辺は良い石がたくさん採れたのですかね?

御朱印もいただきました
「石龕地蔵」と書かれています。
さすが能書家魚養の縁のお寺、力強く抑揚のある達筆な字ですね。
大きなお寺ではありませんが、木造と石造のお寺の十輪院、良かったです

十輪院
住所:奈良市十輪院27 TEL:0742-26-6635
拝観時間:9時~16時半(受付16時半まで) 休館日:月曜(月曜祝日の場合は翌日休)
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