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奈良 松柏美術館「万葉に遊ぶ」展('10.10.10 Sun)

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 もうだいぶん経ってしまいましたが、予告編だけして後回しになっていた奈良学園前の美術館巡りの報告をします

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 最初に行ったのは、松柏美術館です。
 こちらでは、「万葉に遊ぶ―上村松篁の描いた万葉世界を中心に」展('10.10.5~12.12まで。入館料1000円)が開催されています。

 松篁さんといえば花鳥画が有名で、人物画は子どもを描いた絵を数枚見たことがあるぐらいであまり知らないのですが、井上靖が小説「額田王」を雑誌連載した時に松篁さんが挿絵を描いたそうで、今回はその挿絵を中心した展覧会です。

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 「万葉の春」というチラシの表紙になっている絵が展示してあるのですが、松篁さん、人物画もいいですね
 さすが松園さんの息子だけあり、上品な美しさを持った人物を描かれます。
 構図も、桃の木を大きくするのではなく、桃の花を大きくしてあり、その辺が近代日本画とは違って新しく感じました。
 この作品は縦186cm×横765.2cmとすごい大作なのですが、これを観ると一気に万葉の時代の春の世界に引き込まれます。
 晴れやかで、春らしい穏やかな美しい絵です

 今回の展覧会のメインは、小説「額田王」の松篁さんの挿絵です。
 井上靖の額田王は大昔に読みましたが、文庫本には挿絵は付いてなく、松篁さんが挿絵を描いていたとは全く知りませんでした。
 とはいえ、小説を読んだ頃は子どもだったので、まだ美術には疎くて松篁さんのお名前も知らなかったのですけどね(笑)。

 雑誌の挿絵なのでほとんど白黒で小さな作品なのですが、やっぱり松篁さんはすごい!
 場面描写が適確な上に、小さな作品なのに格調高く、見事に松篁ワールドを作りあげています。
 松篁さんは、毎週届く原稿を読み、その中からどの場面を描くかを決め、時代考証などの下調べもして時間と戦いながら描いていたので、連載中はかなり大変だったようですが、小説連載が終了し計124枚を描き上げた時には満足感とともに終了したことによる寂しさを感じたそうです。
 小説家も画家も自分一人だけで作る作品ではないので、お互いしんどかった部分もあるでしょうが、その分想い入れも強くなるのでしょうね。わかるような気がします。
 展覧会会場では、井上靖の小説の抜粋も展示されており、松篁さんと井上靖のコラボワールドを堪能しました

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 「万葉に遊ぶ」ということで、松篁さんの他にも安田靫彦の「飛鳥の春の額田王」や、堂本印象、池田遥邨の作品展示もありましたし、奈良時代の衣装も展示されていました。

 図録はかわいく絵本のような大きさで1500円でした。
 絵とともに小説の抜粋も図録に載っていますので、読み物としても楽しめます

 常設展示としては、松園さんや淳之さんの美しい作品も展示してあり、ほっこりまったりできました。
 
 松篁さんの知らなかった画業の一面が見れたこの展覧会、とても良かったです

松柏美術館 
 住所:奈良市登美ヶ丘2-1-4 TEL:0742-41-6666
 開館時間:10時~17時(入館は16時まで) 休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替期間、臨時休館あり
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Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
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