京都大丸ミュージアム 「木田安彦の世界 三十三間堂」展('10.10.16 Sat)

京都大丸ミュージアムで開催されている「木田安彦の世界 三十三間堂」展('10.10.6~10.18まで。入場料700円)も本日終了なので急いで紹介しますね。
版画家の木田安彦さんのことはお名前すら知らなくて、展覧会を観たのも初めてだったのですが、この人の作品、面白いですね~。
京都の有名なお寺「蓮華王院 三十三間堂」を版画、水墨、板絵、ガラス絵などの素材を変えて、また大きさも変え、いろんなバージョンの作品を作られているのです。
三十三間堂は、高さ16m、奥行き22m、南北120mの長大なお堂の中に1体の坐像の千手観音さまと1000体の立像の千手観音さま、1対の風神雷神さま、そして二十八部衆の皆様が安置されています。
(余談ですが、三十三間堂は妙法院門跡の境外仏堂なので、本坊は妙法院になります。妙法院の場所は東山七条バス停すぐで、三十三間堂からもそんなに遠くありません。
寺内は通常非公開ですが、年1回ぐらいは公開しているみたいです)

ということで、三十三間堂といえば長いお堂とたくさんの十一面観音さまです。
木田氏は、いろんな角度から描いているのですが、例えばチラシの下部分の版画、長ーいお堂にたくさんの観音さまがちゃんと描かれています。
ちなみにこちら(←クリックしてください)が三十三間堂のサイトのトップです。
比べてみると、木田さんの作品は三十三間堂の特徴をよく捉えていることがわかります。
でも、版画をよく見ると、画面が小さいので観音さまの頭部がなくなって、お地蔵さまみたいになっています。
それでも、三十三間堂を知っている人は、これを観音さまと認識するんですよね。
人間はものを認識するとき視覚を重視するのですが、見慣れたものなどは記憶に頼ることが多々あります。
記憶というのは、全てを詳細に覚えているのではなく、そのものの特徴だけを残しやすくなっています。
特徴を捉えていれば、少しの類似点で対象を特定することができるのです。
木田さんの作品は、そのことをよく承知して作られているように思います。
チラシの真ん中に描かれているのは、余り絵具のみで描かれた「不動曼荼羅」という左右15mもある大きな作品です。
中央のお不動さまを中尊に置き、左右1000体のお不動さんが描かれているのですが、チラシだと縮尺が小さすぎてお不動さんだとわかりません。
真ん中のお不動さまでさえ、言われるまでお不動さまだと気付かないかもしれません。
したがって、チラシだけでは「不動曼荼羅」だとはわからないでしょう。
ですが、実際に見てみると、中央の大きなお不動さまにまず目が行きます。
そしてタイトルを見ると、もうマジックにかかったのも同然(笑)。
左右15mもあるので、1つ1つのお不動さんをしっかり見ることができますが、見る方の目が勝手にお不動さんの特徴である剣とおさげ髪を見つけてしまうのです。
だから、これお不動さん?と思うようなものも、剣かおさげがあれば全てOK(笑)。
かえってその崩れたところが面白いと感じたりもするんですよね。
ただ、これらもきっちりとした技術を持っていることがわかっているからこそ、面白いと感じることができるのだと思います。
細かい描写なのに丁寧に彫られている版画は美しいです。
木材の上に描かれた絵は、素材を生かした作品になっており、味があります。
ガラス絵の観音さまは輝きがでて、仏さまの神々しさが出ています。
どれもいいなと思う作品ばかりでした


確かな技術と計算された技法、そして少し遊び心も含まれているような木田安彦さんの三十三間堂、面白かったですよ。
展覧会は今日(10/18)の16時半までですが、皆さんも「木田ワールド」を体験してみてくださいね

大丸ミュージアムKYOTO
住所:京都市下京区四条通高倉西入立売西町79番地 TEL:075-211-8111
入場時間:10時~20時。最終日は17時まで。(閉場は各30分前まで)
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