京都工繊大美術工芸資料館 「近代日本のグラフィックデザイン」展('10.9.11 Sat)
9/11にレンタサイクルを借りて、京都を周ってきました。
最初に行ったのは有栖川旧邸見学だったのですが、会期終了近い展覧会を先に紹介させてもらいますね。

やってきたのは、大文字の「妙法」が見えるところ、左京区の松ヶ崎にある京都工芸繊維大学美術工芸資料館です。

こちらで「近代日本のグラフィックデザイン」展(入場料200円。'10.7.12~9.16まで)を観てきました。
資料館自体の看板文字のデザイン、漢字の縦線が少ない。
面白いですね~。さすが工芸繊維大です
。

この展覧会、面白かったですよ。
以前、西宮市立大谷記念美術館でも大規模なポスター展をやっていて、その時は「関西のグラフィックデザイン展」だったのですが、今回は全国版です(笑)。
大谷美術館と同じような作品もあれば、見たこともないのもあり面白かったです。
会場は2階だったのですが、階段の周囲には外国の大きなポスターが何枚も飾ってあり、雰囲気を盛り上げます。
2階に上がると4室(だったと思う)の部屋に分かれており、時代やジャンルによってまとめられています。
最初の部屋は、日本酒の宣伝のポスターで、日本髪の美しい女性がお酒の宣伝をしているポスターが多かったです。
やっぱりきれいな女性にお酒を薦めてもらうと、購買意欲があがるんですかね(笑)。

次の部屋は、ビールやジュースなどの飲料水のポスターが多かったです。
この部屋のポスターは有名画家の絵が多く、目を惹きました。
カルピスは、東郷青児や広田多津ですからね。豪華です。
他のメーカーですが、小磯良平、和田三造のポスターもありましたよ。
どれもよかったのですが、今回私が気になったのは、キリンビールのポスターで多田北烏の1930年の作品です。
ビールを飲んでる女性の横顔が描かれたポスターなんですが、その横顔がなんとも言えぬ表情を湛えていて、心惹かれました。
行かれる方は見てみてくださいね
。
そして、時代が進み、博覧会や精神力でいろんなことをしようというようなポスターが増えます。
絵よりキャッチコピーがメインになり、絵がスッキリしてきます。
さらに時代が進むと、戦争真っ最中のポスターも展示されていました。
松坂屋大阪店では、昭和19年に「決戦科学展」という展覧会を開催していたみたいで、内容はともかく、この時分に展覧会が開かれていたことに驚きました。
戦時中の大変な時にでも頑張ってた松坂屋大阪店は、大阪から撤退して現在はありません。
なんとなく寂しい気分になりますね。
藤田嗣治の戦争画のポスター「聖戦美術展覧会」もありました。
藤田は戦後、戦争協力の罪を非難されフランスに帰化することになったのですが、このポスターも非難の対象になった作品の1つなのかなと思いました。
ですが、このポスターの兵隊は皆苦しそうな顔をしており、戦争を鼓舞しているように見えませんけどねぇ。
戦争画は、藤田の他にも宮本三郎、猪熊弦一郎が描いていました。
猪熊弦一郎なんて、抽象画みたいなのしか知らなかったんで、こんなしっかりとした人物が描けるのかとビックリしてしまいました。
好きなものを描けない時代というのは、悲しいですね。
あと、鉄道や観光局のポスターもありましたよ。
大阪観光局の「京都へ」は、現在のJR東海の「そうだ、京都へ行こう」のポスターを連想させます。
JRのポスターの元は、この辺りのポスターを参考にしたんですかね。
9/11の「美の巨人たち」でやっていた杉浦非水のポスターもありました。
番組と同じポスターではなく、「東洋唯一の地下鉄道」の方でしたが、このポスターも番組の中でチラっと紹介されてましたよ。
いろいろなポスターを見て、いろんな感情を喚起させられた展覧会でした。
良かったです
。

ポスター展を堪能して、1階に下りると、「ここにもあった匠の技-機械捺染(きかいなせん)-」展('10.8.9~10.1まで)をやっていました。
こちらは、布にデザインを機械でプリントしていくローラー捺染の技法やデザインを紹介する展覧会でした。
昭和前期、布に文様が施された着物は高価で、庶民の手に入りにくかったのですが、ローラー捺染技法の普及により大量生産が可能になり、庶民でも気軽におしゃれが楽しめるようになったそうです。
ですがローラー捺染は、大量生産できる安価なものとイメージされ、評価が低いだけでなく、現在は需要が急速に落ち込んでいることから、今後、消失の可能性もあるため再評価しようということで、今回はその研究成果の発表の一部みたいです。
図案、布見本、写真、動画などの展示資料から、生地ができあがるまでの各工程が紹介されており、手間のかかる細かい作業で、見ていてすごいなと思いました。
ローラー捺染の原版を作るのは、やはり技術が必要で、職人の技が光ってますね。
戦争中は飛行機柄や、国威高揚っぽいロゴが入った柄がデザインされ、こんな柄の浴衣なんか着たくないなと思いました。
やはり戦争は嫌ですね。
本来の展覧会の趣旨とは少し違いますが、ポスター展も機械捺染展も戦時中の不自由さが感じられ、もう2度とこんな時代にしてはいけないと思わせた2つの展覧会でした。
京都工芸繊維大美術工芸資料館
住所:京都市左京区松ヶ崎御所海道町 TEL:075-724-7924
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで) 休館日:日曜、祝日
最初に行ったのは有栖川旧邸見学だったのですが、会期終了近い展覧会を先に紹介させてもらいますね。


やってきたのは、大文字の「妙法」が見えるところ、左京区の松ヶ崎にある京都工芸繊維大学美術工芸資料館です。

こちらで「近代日本のグラフィックデザイン」展(入場料200円。'10.7.12~9.16まで)を観てきました。
資料館自体の看板文字のデザイン、漢字の縦線が少ない。
面白いですね~。さすが工芸繊維大です


この展覧会、面白かったですよ。
以前、西宮市立大谷記念美術館でも大規模なポスター展をやっていて、その時は「関西のグラフィックデザイン展」だったのですが、今回は全国版です(笑)。
大谷美術館と同じような作品もあれば、見たこともないのもあり面白かったです。
会場は2階だったのですが、階段の周囲には外国の大きなポスターが何枚も飾ってあり、雰囲気を盛り上げます。
2階に上がると4室(だったと思う)の部屋に分かれており、時代やジャンルによってまとめられています。
最初の部屋は、日本酒の宣伝のポスターで、日本髪の美しい女性がお酒の宣伝をしているポスターが多かったです。
やっぱりきれいな女性にお酒を薦めてもらうと、購買意欲があがるんですかね(笑)。

次の部屋は、ビールやジュースなどの飲料水のポスターが多かったです。
この部屋のポスターは有名画家の絵が多く、目を惹きました。
カルピスは、東郷青児や広田多津ですからね。豪華です。
他のメーカーですが、小磯良平、和田三造のポスターもありましたよ。
どれもよかったのですが、今回私が気になったのは、キリンビールのポスターで多田北烏の1930年の作品です。
ビールを飲んでる女性の横顔が描かれたポスターなんですが、その横顔がなんとも言えぬ表情を湛えていて、心惹かれました。
行かれる方は見てみてくださいね

そして、時代が進み、博覧会や精神力でいろんなことをしようというようなポスターが増えます。
絵よりキャッチコピーがメインになり、絵がスッキリしてきます。
さらに時代が進むと、戦争真っ最中のポスターも展示されていました。
松坂屋大阪店では、昭和19年に「決戦科学展」という展覧会を開催していたみたいで、内容はともかく、この時分に展覧会が開かれていたことに驚きました。
戦時中の大変な時にでも頑張ってた松坂屋大阪店は、大阪から撤退して現在はありません。
なんとなく寂しい気分になりますね。
藤田嗣治の戦争画のポスター「聖戦美術展覧会」もありました。
藤田は戦後、戦争協力の罪を非難されフランスに帰化することになったのですが、このポスターも非難の対象になった作品の1つなのかなと思いました。
ですが、このポスターの兵隊は皆苦しそうな顔をしており、戦争を鼓舞しているように見えませんけどねぇ。
戦争画は、藤田の他にも宮本三郎、猪熊弦一郎が描いていました。
猪熊弦一郎なんて、抽象画みたいなのしか知らなかったんで、こんなしっかりとした人物が描けるのかとビックリしてしまいました。
好きなものを描けない時代というのは、悲しいですね。
あと、鉄道や観光局のポスターもありましたよ。
大阪観光局の「京都へ」は、現在のJR東海の「そうだ、京都へ行こう」のポスターを連想させます。
JRのポスターの元は、この辺りのポスターを参考にしたんですかね。
9/11の「美の巨人たち」でやっていた杉浦非水のポスターもありました。
番組と同じポスターではなく、「東洋唯一の地下鉄道」の方でしたが、このポスターも番組の中でチラっと紹介されてましたよ。
いろいろなポスターを見て、いろんな感情を喚起させられた展覧会でした。
良かったです


ポスター展を堪能して、1階に下りると、「ここにもあった匠の技-機械捺染(きかいなせん)-」展('10.8.9~10.1まで)をやっていました。
こちらは、布にデザインを機械でプリントしていくローラー捺染の技法やデザインを紹介する展覧会でした。
昭和前期、布に文様が施された着物は高価で、庶民の手に入りにくかったのですが、ローラー捺染技法の普及により大量生産が可能になり、庶民でも気軽におしゃれが楽しめるようになったそうです。
ですがローラー捺染は、大量生産できる安価なものとイメージされ、評価が低いだけでなく、現在は需要が急速に落ち込んでいることから、今後、消失の可能性もあるため再評価しようということで、今回はその研究成果の発表の一部みたいです。
図案、布見本、写真、動画などの展示資料から、生地ができあがるまでの各工程が紹介されており、手間のかかる細かい作業で、見ていてすごいなと思いました。
ローラー捺染の原版を作るのは、やはり技術が必要で、職人の技が光ってますね。
戦争中は飛行機柄や、国威高揚っぽいロゴが入った柄がデザインされ、こんな柄の浴衣なんか着たくないなと思いました。
やはり戦争は嫌ですね。
本来の展覧会の趣旨とは少し違いますが、ポスター展も機械捺染展も戦時中の不自由さが感じられ、もう2度とこんな時代にしてはいけないと思わせた2つの展覧会でした。
京都工芸繊維大美術工芸資料館
住所:京都市左京区松ヶ崎御所海道町 TEL:075-724-7924
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで) 休館日:日曜、祝日
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