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映画「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」('10.7.10 Sat)

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 先週末の土曜日に、シネ・リーブル神戸でやっている「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」という映画を観てきました('10年19本目)。
 この日は初日です。

 初めて来た映画館ですが、趣があり、ちょっと良い感じの建物ですね
 神戸朝日ビルといって、外壁などは以前あった旧神戸証券取引所を復元したものだそうです。

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 映画館は、このビルの地下にあります。

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 さて、本題の映画の話ですが、「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」というこの映画、めっちゃよくできた芸術作品になっています。
 この1本の映画の中に、音楽・文学・美術という芸術を構成する要素全てが盛り込まれています。
 それも、違和感なく滑らかに。

 話は、オペラ「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」の台本を書いた、ロレンツォ・ダ・ポンテが主人公です。
 彼の半生を追いかける中で、モーツァルトとの出会い、モーツァルトとの共同オペラ(音楽モーツァルト、作ダ・ポンテ)である「ドン・ジョヴァンニ」の創作過程を描いた映画なのですが、主な登場人物として、ダ・ポンテとモーツァルトのほかに、稀代のプレイボーイとして有名なジャコモ・カサノヴァがでてきます。

 このカサノヴァを師匠とするダ・ポンテは、師匠と同じように女性遍歴を重ねます。
 元々「ドン・ジョヴァンニ」って、スペインの伝説上のプレイボーイ「ドン・ファン」のことを書いているので、プレイボーイのダ・ポンテやカサノヴァは、オペラの主人公を自分自身と同一視し、オペラと現実が交差していく展開になります。

 実際の場面とオペラがものすごくスムーズに行き来しあい、なんか観ていてこの映画自体が舞台のお芝居のようになってるなと感心しました。
 よくできた構成です。

 音楽は、もちろんモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」がオペラ歌手によって部分的にですが再現されています。
 音響設備がいいので、音楽も迫力がありますよ
 ダ・ポンテの恋人でオペラ歌手の役の女性は、本物のオペラ歌手で、映画の中で歌うことよりも演技をすることの方が難しかったそうですよ。
 
 美術的には、時代背景に即したコスチュームや髪型、古い貴族の館に飾ってある絵画などの装飾品など美しいものが揃っていて、見どころ満載です。
 モーツァルトが弾いていたクラヴィーアは美しかったな~。

 この時代、上流階級の人たちが集まる場所ではみんなカツラをつけています。
 当時先進的な音楽家だったモーツァルトは、この映画ではカツラも爆発してました(笑)。
 カサノヴァのカツラは、年老いてましたし(苦笑)。
 ということで、カツラもチェックしてくださいね

 文学的には、劇作家ロレンツォ・ダ・ポンテの半生、モーツァルトやジャコモ・カサノヴァなど実在の人物について、事実・虚構を織り交ぜながらの説得力のある脚本になっており、面白かったです。
 ダ・ポンテが女性遍歴を重ねた理由も、幼少期の体験や心の抑圧からきてるものだと滲ませてるところがうまいですしね。

 こんな感じで、全体的にすごくよくできた作品だとは思いますが、ドラマとして面白かったかと問われれば少し微妙です。
 元々「ドン・ジョヴァンニ」のストーリー自体が現代の私たちからすればちょっと・・・というような内容なので、映画本体ほど面白いというわけにはいきまませんが、まぁまぁ興味深くはあります。

 というか、「ドン・ジョヴァンニ」の成功はやっぱりモーツァルトの音楽のおかげではないかと私は思ったのですが、18世紀というこの時代、こういう少し社会的良識からはずれた作品が開放的思想として、当時の人々にとって新鮮だったのではないかというのが夫の意見です。
 まぁ、音楽もストーリーも革新的で、実際にはなかなかできない自由奔放な生き方に現実逃避的な憧れとして、当時の人々に受け入れられたのかもしれませんね。

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 時代設定などもっと詳しく知りたい方は、劇場に貼ってあるお手製みたいな解説を是非読んでみてくださいね。
 この映画についての理解が深まること請け合いです

 オペラや映画は総合芸術だと改めて認識させられた作品でした
 シネ・リーブル神戸では、7月23日までは上映してるみたいですよ。
 総合的に見て、面白かったです
  
ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い 2009年 イタリア・スペイン ロングライド カルロス・サウラ監督 127分
 映画「アマデウス」のリバイバル上映、忘れずに観に行かなくては!と思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:83点  
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