奈良県立万葉文化館 「平山郁夫」展('10.5.15 Sat)

奈良県立万葉文化館では、平城遷都1300年記念特別展として「シルクロード 奈良への道 平山郁夫」展('10.4.17~5.30 日曜まで。観覧料1000円)を開催しています。
この日は、この展覧会を観る前にいろいろ行ったのですが、この展覧会も会期終了が迫っているので、先に紹介させてもらいますね。

今回の展覧会では、仏教、シルクロード、奈良・大和路に焦点を当て、平山郁夫の生涯のテーマとなった仏教伝来の道、日本文化の源流をたどるシルクロードの連作をはじめ、シルクロードの終着点としての大和路を描いた作品をあわせ、約60点を紹介した展覧会だそうです(展覧会チラシ引用)。

会場に入ると、大きく広い部屋に平山郁夫の作品群がズラリと展示され、圧巻です。
平山郁夫の絵、やっぱり良い!
心にじんわり沁みこむような、静かで優しい絵の数々です。
「求法高層東帰図」は、金地に11人の僧のシルエットが描かれた絵なのですが、はじめ見た時は、僧たちが皆顔を下に向けながら重い足を動かしているように見え、胸が痛むような気がしました。
他の作品を観るために先に進み、ふと後ろを振り返ると、さっきの「求法高層東帰図」の11人の僧のうち、後ろの4人は大きな太陽の光の中にいるのです。
単なる照明のせいかなと思い、もう一度戻ってその絵を見てみると、それは照明ではなく描かれたものでした。
平山郁夫は、僧たちの苦難を理解しながらも、そこに希望をちゃんと描いていたんですね。
そうやって他の作品も見てみると、平山の作品は、人物が光り輝いているのです。
光り輝くように、実際に輪郭線を金で淡く描いているのです。
人物だけでなく、仏像や、その作品の根幹となる建物にもその技法が使われています。
それが、深い青や緑、砂漠の土色のバックの色と合わさって、独特の静謐感を形成しているのだと思いました。
それと同時に、この輪郭線は平山郁夫がその絵に対し、何に主眼を置いたのかを指し示しているようにも思えます。
平山郁夫は、シルクロードという過酷な環境にもめげず生活のために、あるいは文化を伝えるために東西を行き来する人間のたくましさ、その結果、伝わった文化に興味を持ち、魅了されたんだなと思いました。
この会場は広いので、「アフガニスタンの砂漠を行く・日」、「アフガニスタンの砂漠を行く・月」など対になってる大きな作品でも、ちゃんと横に並べて展示されており、大変良かったです。
なかなかこういった広い展示会場はありませんので、このように対のものでも、並べて見ることはなかなかできないと思います。
平山郁夫ワールドを堪能できました。
シルクロードを通って日本と大陸の交流がわかるような、平城遷都1300年記念にぴったりの平山郁夫の展覧会でした。
平山郁夫が新作として描こうとしていた「平城京」、下絵だけでなく完成品を観たかったし、
平山郁夫も描きたかっただろうなぁ。
もう少し長生きして描いて欲しかったです。それだけがちょっと残念でした。
図録は2500円と高かったのですが、今回は平山郁夫のシルクロード作品群の集大成というような展覧会だったので、頑張って買っちゃいました。
奈良の後は、広島の平山郁夫美術館('10.6.2~7.14)、山梨の平山郁夫シルクロード美術館('10.7.18~8.22)へと巡回するようです
とってもオススメの展覧会でしたよ。
皆さんも是非観に行ってくださいね

奈良県立万葉文化館
住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥10 TEL:0744-54-1850
開館時間:10時~17時半(入館17時まで) 休館日:会期中無休
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