奈良国立博物館「大遣唐使展」('10.4.30 Fri)

平城宮跡会場から急いで奈良国立博物館に行ったのですが、着いたのは6時!
この日は7時までなので、観覧時間は1時間。
急いでまわらないと!

今回の展覧会は、「平城遷都1300年記念 大遣唐使展」('10.4.3~6.20 日曜まで。入館料1400円)です。

会場は、第1会場と第2会場に分かれているのですが、第1会場に今回の目玉作品がドーンと展示されています。
フィラデルフィア美術館蔵の「菩薩半跏像」(チラシ右下)。
小さなブロンズ像なのですが、衣服の流れるような描写や装飾品の表現が精緻で美しいです。
日本初公開だそうですよ。
「吉備大臣入唐絵巻」第1巻、第4巻もアメリカのボストン美術館所蔵の品なんですが、遣唐使として2回も唐に渡り、2回目は鑑真和上を伴って帰った、あの吉備真備を題材にした絵巻物です。
最近では、NHKのドラマ「大仏開眼」でも主人公として登場してました。
この絵巻物の内容は、ドラマとは全然違って、吉備真備って、術者だったの?と思うほど、すごい能力の持ち主として描かれています(笑)。
唐で亡くなった阿倍仲麻呂が、鬼となって真備を助けたり。
心情的には仲麻呂は真備を助けたかったでしょうが、鬼にしなくてもねぇ(苦笑)。
ユーモラスで面白いので、要チェックですよ

「三彩貼花文長頸瓶」も、色、模様ともにきれいだったなぁ~。

そして、本展覧会一番のオススメは、チラシにも載っている、唐時代の「観音菩薩立像」(チラシ左)と薬師寺の「国宝 聖観音菩薩立像」(チラシ右)2体並んでの展示でしょう。
唐時代の名作の仏像が、薬師寺の聖観音像の様式の源流なのだそうです。
それを自分の目で確かめることができるようになっています。
どちらの菩薩さまも美しいのですが、薬師寺の聖観音像は、唐時代の仏像の特徴・美しさを学び、吸収し、さらにそれを発展させて作られたように思えます。
これが、遣唐使らが命をかけて日本にもたらした功績の1つなのでしょうね。
この2体の観音像は、ぐるりと1周して観ることができます。
普段は光背などが付けられていて、後ろ姿は詳しく見れないので、今回はしげしげと見せていただきましたが、背中のラインや衣服、装飾品の描写など美しかったですよ~。
この機会に、是非、後ろ姿も拝見させてもらってくださいね。
第2会場は、第1会場より展示物が多いです。
こちらでは、京都の安祥寺の「十一面観音立像」が、威風堂々として目をひきました。
「国宝 刺繍釈迦如来説法図」も、はじめ絵画かと思ったぐらいすごかったです。
ところどころ糸が盛り上がってるのを見て、刺繍だと気付きました。
これも超絶技巧と言えるのではないでしょうか。
この作品は5/23までの展示なので、それまでに行かれた方はチェックしてくださいね。
この他にも、最澄、空海に関するものなど、見どころがいっぱい

昨年「鑑真和上展」、「聖地寧波展」と、中国と日本との交流をテーマにした展覧会が2つ開催され、今回はその集大成にあたる展覧会で、唐の文物、遣唐使によってもたらされた人や知識や文物、そしてそれらを参考にして、日本がどのように知識や文化を発展させていったかがわかるような、盛りだくさんの内容でした。
前の2つの展覧会を観ていたからこそ、遣唐使の大変さや使命の重大さがより理解でき、今回の展覧会が興味深く観れたように思えます。
復元された遣唐使船にも乗れたし、「平城京歴史館」も参考になったかな(笑)。

あまりに見所がいっぱいすぎて、1時間では全然時間が足りませんでした。
地下では、「吉備大臣入唐絵巻」全巻のデジタルアーカイブも放送してました。
実物は1巻と4巻しか来ていないので、これも時間があれば見たかったんですけどね。
図録は2500円と、ちょっと高いです。
分厚く、読み応えはありそうですけど(笑)。
すごく充実した内容の展覧会になっているので、これから行かれる皆さんは、たっぷり時間をとって観に行かれることをお勧めします

奈良国立博物館 「平城遷都1300年記念 大遣唐使展」
住所:奈良市登大路町50 TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時半~17時(金曜は19時まで。入館は各30分前まで) 休館日:月曜
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