伊丹市立美術館「熊田千佳慕展」('10.4.18 Sun)

造幣局の通り抜けの後、伊丹市立美術館でやっている「プチ・ファーブル 熊田千佳慕展」('10.4.10~5.23 日曜まで。入館料700円)を観に行きました。
去年の9月、京都高島屋に熊田千佳慕展を観に行って、とても良かったので再度観に行くことにしたのです。

いつも私たちは旧石橋家住宅などがある入り口から入ります。

チラシにもあるとおり、熊田千佳慕さんは、虫と花を描き続けた細密画家です。
蝶なら羽のりんぷんが感じられるほど、トンボなら羽が透ける感じがわかるほど、蜂なら胸の毛のふわふわ感がわかるほど、虫を手で触ったことがある人なら、絵を見るだけでその感触が蘇るぐらい、リアルに描かれています。
でも、少しだけ昆虫の目が大きく描かれています。
目を大きく描くことにより、虫がすごくかわいく見えるんですよね。
そこに千佳慕さんの昆虫に対する深い愛情を感じました。

千佳慕さんは、昆虫を細密に描くというだけでなく、虫の生態までを描く人でした。
そこが、単なる昆虫画家ではなく、プチファーブルと呼ばれる所以なんでしょうね。
絵を見て、この虫はこんな風に卵を産むんだなどと、昆虫の勉強にもなりました(笑)。
千佳慕さんは、昆虫だけでなく、花や動物も描いています。
もちろんリアルな細密画です。
それも色が明るく鮮やかで、とってもきれいです。
なんか色が輝いているんですよね。
千佳慕さんは、対象を「見て、見つめて、見極めて、納得してからしか描かない」と展覧会に流れていたビデオで言ってられました。
生き物に思い入れを込めて、1枚1枚絵を描かれていたんですね。
それが観ているこちらにも伝わり、生き物を大切にしなくっちゃという気持ちにさせられます。

会場の通路には、千佳慕さんの言葉が掛かってました。
「身のまわりにあるものに愛を感じ、美しさを感じ、楽しいひとときをもつこと。それが本物のゆとり。」
そのとおりですね。ゆとりがないと、美しさに対する感度も下がってしまいますもんね。
この展覧会を観て、意識して自分のまわりを見れば、ちゃんと自然は私たちにも美を見せてくれるんだと改めて思いました。
図録は1900円で、昨今の図録としてはお安いです。
原画に比べると色の輝き度は劣りますが、それでもきれいで、くまちかさんの世界が楽しめますよ

美しく、優しく、時には生きることの厳しさも描かれた熊田千佳慕の作品約200点が展示されたこの展覧会、すごく良かったです。
オススメです


同じ敷地内に柿衛文庫という、俳句を中心にした展示場もあります。
今回は、花と鳥の俳画の展示がされていました。
こちらものぞいてみてくださいね。
「春」を感じさせてくれて、なかなか良かったですよ。

外に出てみると、桜の花がまだきれいに咲いてました。
これは、もしかしたら千佳慕さんからの贈り物だったのかもしれませんね

伊丹市立美術館
住所:伊丹市宮ノ前2-5-20 TEL:072-772-7447
開館時間:10時~18時(入館17時半まで) 休館日:月曜(祝日にあたるときその翌日。今回は5月3日は開館で、5月6日は休館です)、年末年始(12月29日~1月3日)、展示入替時
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