映画「Dr.パルナサスの鏡」('10年2本目)

いや~、この映画は面白かったな~

夢のあるファンタジーというよりは、毒を含んだ大人の童話って感じです。
あらすじは、昔は偉い僧侶だったDr.パルナソス(クリストファー・プラマー)は、この世の中は物語を語り継ぐことによって成り立っている、それをできるだけ長生きすることによって確認したいという想いから、悪魔と不死を賭けて勝負します。
賭けはDr.パルナサスが勝利し、悪魔と同じように不死の人間になります。
長い年月、何度も悪魔と賭けをしてきたDr.パルナサスの現在の職業は、見世物小屋で人の心の中の欲望を具現化する旅芸人。 Dr.が作り出す鏡の世界で、入った人にDr.が正しいと思う方か、悪魔が推薦する方かを選択をさせ、その人数で勝負するのです。
今回の賭けは、ドクターの娘(リリー・コール)の生死。
だが、現代ではボロい旅芸人の出し物など誰も相手にしないので勝負にさえなりません。
これでは、娘を悪魔に取られる!と思ったところに、橋から落ちて記憶喪失になった男トニー(ヒース・レジャー)を娘が助けます。
それが縁で、トニーは旅芸人の仲間になり、ドクターの鏡の世界の虜になっていくのですが、トニーの真の姿は?
はたして賭けの結果は・・・。
不老不死って、一見すごく良さそうに聞こえますが、長い時間を1人で生きるというのがどれだけ辛いことかを、ドクターや悪魔の言動が軽くさらりと我々に伝えてくれます。それでも、2人だったら楽しくやれるよという誘惑と共に。
この映画は、「時間」が人にもたらす功罪を見事に表現していると思います。
持て余すほどの時間が手に入れば、高尚な人間も自分の欲望のためなら悪魔のように人を犠牲にするぐらい堕落するし、悪魔もたとえそれが一時の気の迷いであろうと善行をすることもあります。
人も悪魔も本性は変らないって言われているみたいで、苦笑してしまいます。
映画の中では、このような「毒」が、きらびやかな映像と共にいっぱいちりばめらています。
この「毒」を面白いと思うのは、私自身、年がいったという証拠なんでしょうね。
若かったら意味がわからず、「なんや、これ、全然面白くないわ」と思っていたかもしれませんもの

ヒース・レジャーの途中の代役をジョニー・デップ、コリン・ファレル、ジュード・ロウで演ずるっていったいどうやるんだろうと思っていたら、鏡の世界では自分の願望によっていろいろ変身できるという設定だったので、なんの違和感もなくスムーズに観れました。 というか、違和感なさすぎで、びっくりするぐらい(笑)。
さすが名役者揃い。皆さん、雰囲気が似てます。
ラストは予想どうりでしたが、イケメン俳優勢揃いで人生の妙味を語ってくれる、酸いも甘いも噛み分けた大人のための童話という映画でした

Dr.パルナサスの鏡 2009年 イギリス・カナダ ショウゲート テリー・ギリアム監督 124分
Dr.の鏡の世界を体験してみたいと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:87点
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