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映画「マトリックス レザレクションズ」

 マトリックスシリーズの4作目「マトリックス レザレクションズ」を観てきました。
 コロナのせいでずっと映画館に行ってなかったのですが、マトリックスは全作とも映画館で観ているので久しぶりに行ってきました。
 多少はネタバレしているかもしれませんが許してくださいね。

 さて、今回の作品はちょっと設定が難しかったです。
 これまでは現実世界とマトリックスの世界(仮想現実)だけだったのですが、今回はゲームの世界も加わりより複雑になっています。
 どれが真の世界かわからないままに、どんどん話が進んでいきますが、段々と構造が明らかになっていき、主人公のネオやトリニティが復活した理由などもわかってきます。
 というか、観ているうちにどんどんと謎が解けていき、敵味方が入り乱れ、最後の方はゾンビ映画か!?みたいになってました(笑)
 スピード感がありますね。
 
 キアヌくんやトリニティ役の人は、ずっと同じ役者さんですが、エージェント・スミスは違う人だったので少し若い(でも貫禄ある体形)。
 服装もTシャツにジャケットですからね。
 もうスミスじゃないです。
 そうすると「(以前よりも)さらに完璧なキャラクターになっている」と自分で言ってました。
 それに「私は何にでもなれる」という言い訳までされたら、これ以上異議は唱えられません(笑)

 今回は誰が敵で、なんのための戦いかなどがあまりよくわからないまま、勢いで押し切られたという感じがするので、映画館に再度観に行くかは別として、もう1回観たいですね。
 もっといろんなことがわかりそうです。
 これまでのカンフー&ワイヤーアクションも健在ですし、今までにでてきたキャラクターが今作にも登場したりするので、過去3作の復習をしてから観るとより楽しめそうな映画でした。
 
マトリックス レザレクションズ
 2021年 アメリカ ワーナー・ブラザース 原題 The Matrix Resurrections 
 ラナ・ウォシャウスキー監督 148分 
 キアヌくん頑張ったなぁと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:63点

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映画 「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」

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 スターウォーズのエピソード9にあたる「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を観てきました。
 1977年から始まり、長かったシリーズの完結編ということで、公開後すぐに観に行きました。
 といっても初日ではなく、テレビでエピソード7と8を見てから行ったのですけどね。
 シリーズのこの2作を見ていたらまぁOKだろうと思っていたらとんでもない。
 これはエピソード1から全部見る必要がありました。
 まだ公開されてからあまり日にちが経っていないので、できるだけネタバレなしの感想にするつもりですが、もしばれてしまったらすみません。

 swⅨ2
 今回の映画のストーリーはここでは詳しく書きませんが、エピソード8に続きで帝国軍に反抗するレジスタンスに対し、カイロ・レン率いる帝国軍が容赦なく殲滅にかかります。
 その攻防についての戦闘シーンやアクションシーンのすごいこと!
 映画の半分ぐらいはそういうシーンだったのではないでしょうか。
 観ているこっちもヒヤヒヤドキドキで目はスクリーンに釘付けです。
 この迫力は、やっぱり映画館の大スクリーンでこそ味わえる感覚で、絶対映画館で観るべき作品だと思います。
 
 SW全作品のストーリーについては、スカイウォーカー一族3代の壮大なドラマなのですが、暗黒面とはいったいどこからきているのかについて考えさせられました。
 よく考えてみると、主要人物はどの人も自分の親にきちんと育てられていないのです。
 ルークもレイアもアナキンもそしてカイロ・レンも。

 ジェダイは正しいライトサイドかもしれませんが、ジェダイの掟では「誰かを愛することは執着心をうむ」からと特定の人を愛することを禁止しています(ep2)。
 アナキンはこれに悩んでダークサイドに惹かれるのですが、最終的にダース・ベイダーになったのは、オビ=ワンとアナキンが戦った時にアナキンが助けを求めたのに対し、オビ=ワンが助けなかったからだと思います。
 オビ=ワンは助けを求めているアナキンに「お前のことを愛していたのに!」と言いますが(ep3)、師であり父のように慕っていたオビ=ワンに見捨てられたら、オビ=ワンの言葉なんて信じられませんものね。
 これでアナキンは完全にダークサイドにおちたのでしょう。
 愛していたら最後の最後には助けてくれるはずだと思うのが通常の感情ですものね。
 でも、オビ=ワンはジェダイなので、その感情がわからなかったのか、もしくはわかっていても大局に立って物を考えなければいけないと自制してしまったのか、結果もっと悪い事態を引き寄せてしまいました。
 
 逆にダース・ベイダーであるアナキンは、ルークの身代わりに皇帝の刃を受けてしまいます(ep6)ので、ずっと一般的な人間の感情をもっていたことがわかります。
 アナキンは自分の母親に育てられていたので、そういった「愛情」というものを理解していたのでしょう。
 ですが、いかんせん母親と離れた年齢が低かった。
 おまけに自分は奴隷から解放されたのに、母は奴隷のままで自分だけが旅立った(ep1)という感情からか、愛する者を喪うということに過度の恐れをもってしまいます(ep3)。

 また、オビ=ワンはきちんとアナキンを褒めて育てたのかと疑問を持ったのが、ドゥークーとの対決(ep3)。
 アナキンはドゥークーの両腕を切り落とし戦いに勝利しているのに、パルパティーンの扇動にのって止めをさしてしまうのは、今までの育ちの中できちんと評価されていなかったので、どこまですればよいかの判断が峻烈になったからではないかと思いました。
 もしくは、悪の敵をやっつけたという皆からの称賛を期待したからかもしれません。
 称賛を過度に期待する人は、褒められた経験が少ない人か、褒められることが常である人の場合が多いのですが、よく褒められている人は、褒められる行動のポイントをよく理解しているので、いくら悪であっても完全に滅ぼすとまでは考えない余裕があるので、アナキンの場合は前者にあたると思います。
 アナキンがダークサイド側に立ったのは、アナキンの人間関係を含めての生育環境が影響していると思いました。

 カイロ・レン(ベン)にしても、レイアとハン・ソロは、普通に恋してベンができたのですが、出産後、レイアやハン・ソロはきちんとベンを育てたのでしょうか?
 愛情は持っていたのでしょうが、ハン・ソロはあまり子育てするようには見えませんし、レイアはレジスタンスのリーダーになり、子育てに集中することは難しかったでしょう。
 結局、自分たちで育てず、ジェダイの修行としてルークに預けています。
 そのルークは、ジェダイマスターとしてはベンを育てますが、叔父として肉親的な愛情を与えたかは疑問です。
 ルークはベンが暗黒面に囚われかけているということだけで恐れを持ってしまい、ベンに剣を向けてしまいます(ep8)。
 結果、ベンは殺されると感じて逆襲に出て、ダークサイドのカイロ・レンになってしまいます。
 ルークは落ち込んで、ジェダイをやめると隠遁してしまうのですが、ルークが暗黒面への不安より人として叔父としての愛情を優先していたら結果は違っていたのではないかと思います。
 そもそもベンが引き込まれそうになっていた暗黒面とはいったい何だったのでしょう?
 それは今回の映画の中でも明らかになっていませんでしたが、親への愛情に起因しているのではないかと私は思いました。
 カイロ・レンがどうなるかは、この映画の見どころの1つです。

 大局的な正義というのは大事ですが、それを支えるのは親子や身内の愛情、友情といった身近な人への基本的な「情」であり、そこが欠けると正義にも綻びがでて、更には悪に発展するのではないかとこの映画を見て思いました。
 逆に言うと、正義を行うのにジェダイが必要なのではなく、身近な人への愛情が、人への愛情、世界の平和につながり、それがフォースの力となっていく。
 その力をジェダイが使えるのであって、ジェダイがいるからフォースがあるのではない、フォースとは血で受け継がれるのではなく、絆によってもたらされるものだと受け取りました。

 swⅨ3
 SWシリーズはこれで完結になりましたが、当然あるはずのダークサイド側の背景の物語は描かれていません。
 ダークサイド側の人物が、なぜそこまで暗黒面に落ちてしまったのかのストーリーは欠かせないでしょう。
 だいたい完全正義も完全悪も極端すぎます。
 人間は善も悪も併せ持つのが普通ですものね。
 
 少しだけネタバレしますと、それをレイが理解したのではないかと思われるのが、ラストシーンにでてくるある小道具によってです。
 SWは全般的に細かいところに伏線を張っているので油断できません(笑)。
 そういえば、ジェダイは皆、亡くなると肉体が消滅するのですね。

 ついつい長くなってしまいましたが、今回の映画は今までの伏線の回収もしていますし、基本的にep4~6の3部作へのオマージュ的な要素が色濃く出ていますので、やっぱり今までのシリーズ全部見てから今回の作品を見た方がより楽しめると思います。
 レイの正体も今回の目玉の1つですが、出自を知ると道理で強いはずだわという感じでした。
 フィンについても新たにわかったことがありましたしね。

 SWは長年観てきたので思い入れがあります。
 ネタバレなしなので抽象的な感想になってしまいましたが、細かいところで「あれ!あれ!」というシーンがいっぱいあるのです。
 ネタバレで皆さんはどう感じたのか語り合いたいぐらいです(笑)。
 42年かかっての完結編、面白かったです。
 
 さて、ギリギリになりましたが、これで今年のブログは終わりです。
 このブログを見に来てくださった皆様方、ありがとうございました。
 来年のブログ開始は、展覧会を観てからになると思いますので、三元日を過ぎてからになると思いますが、来年もよろしくお願いいたします。
 
スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け
 2019年 アメリカ ディズニー 原題 Star Wars: The Rise of Skywalker J・J・エイブラムス監督 142分 
 ミレニアム・ファルコン号が最後まで活躍して良かったなと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:78点

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映画 「黄金のアデーレ 名画の帰還」

 12月の初め頃、「黄金のアデーレ 名画の帰還」を観てきました。

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 この映画は、ナチスによって略奪され、その後はオーストリア所有になっていた「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」を含むクリムトの名画5点を、肖像画のモデルであるアデーレの姪のマリア・アルトマンが、オーストリア政府相手に裁判を起こし取り戻したという実話を元に作られた映画です。

 この前観た「ミケランジェロ・プロジェクト」は、終戦間際にナチスから芸術品を取り戻した話でしたが、この映画はそれに続くようなお話でした。
 映画の中で、ユダヤ人たちが迫害を受け、マリアが命からがら他国に亡命した経緯も描かれており、その当時の残酷な現実とともに、ユダヤ人の怒りや悔しさも伝わってきました。

 マリア・アルトマンを演じたヘレン・ミレン、かっこ良かったな~
 政府を相手にピンと背筋を伸ばし、ユーモアも持ち合わせながら凛と自分の意見を述べるマリアに感動しました

 そのマリアを助けるのが、オーストリアの作曲家アルノルト・シェーンベルクの孫であるランディ・シェーンベルク弁護士です。
 まだ若手弁護士だった彼が、国を相手に戦う決心をしたのは、自分の出自に誇りをもったからでしょうね

 話は逸れますが、私は以前から祖父のシェーンベルクの方に興味を持っていました。
 というのは、19世紀末のオーストリアの画家リヒャルト・ゲルストルを通してシェーンベルクを知ったからです。
 ゲルストルとシェーンブルクは友人関係だったのですが、ゲルストルはシェーンベルクの妻マティルデと駆け落ちします。
 その年の内にマティルデはシェーンブルクの元に戻るのですが、ゲルストルは手元にある自分の作品を燃やし自殺してしまいます。

 自分の妻と友人に裏切られたのに、戻ってきた妻を受け入れたシェーンベルクの気持ちってどうだったのだろうとずっと思ってました。
 そしたら、この映画の中でランディが「祖父の嫌いなものは妻(=祖母)と言っていた」というようなセリフがあり、やっぱりシェーンベルクはマティルデのことを許していなかったのだなと、長年知りたかった解答の一つを得た気がしました

 ナチスによって簒奪されたものは財産だけではないでしょう。
 その奪われたもののごく一部であっても取り戻せたのは本当に良かったと思います

 ですが、マリアに返還された5枚の絵画、「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」、「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅱ」、「ブナの林」、「リンゴの木」、「アッター湖のウンターアッハの家々」は、ベルヴェデーレ宮殿にあるオーストリア・ギャラリーではもう観れないのですね
 アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像は、NYにあるエスティ・ローダー社のノイエ・ガラリエで観れるみたいですけど。
 私は「ブナの林」が結構気に入っていたのですけどね。
 オーストリア政府は、もっと早くに示談に応じていれば良かったのに。
 裁判に負けてから交渉しても遅いですよ

 マリアが裁判に勝って伯母の絵を取り戻したのは2006年。
 戦争の痛手というのは、60年や70年ぐらいでは解決できない深いものなのだなと改めて思いました。

黄金のアデーレ 名画の帰還 2015年 アメリカ・イギリス合作 ギャガ サイモン・カーティス監督 109分 
「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」の豪華なダイヤのネックレスって本当にあったのねと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:75点

映画 「ミケランジェロ・プロジェクト」('15.11.25)

 久しぶりに映画を観てきました
 「ミケランジェロ・プロジェクト」です。
 
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 この映画は、第二次世界大戦中、ヒトラーの指示によりナチスの占領下におかれた地域で美術品の強奪と破壊が行われていたのですが、その貴重な文化財の損失を防ごうと、ジョージ・クルーニー扮するハーバード大附属美術館館長ストークスが中心となり、美術関係に詳しい計7人が美術品救出作戦を実行する部隊「モニュメンツ・メン」を結成し、盗られた美術品を奪還するという事実に基づいたお話です。

 ヒトラーが美術品愛好家(偏りはありますが)であることは有名で、世界各地の美術品や重要文化財を片っ端から略奪していたのですが、モニュメンツ・メン達はその中から約500万点もの盗品を発見し、奪還に成功します
 それでもそれらはごくごく一部で、いまだ失われたままになっている芸術品も少なくないそうです

 映画の中では、数ある美術品の中からファン・エイクの「ヘント(英語名ゲント)の祭壇画(神秘の子羊)」、ミケランジェロの「聖母子像」の救出をメインに描かれています。
 どちらも信仰の対象として、人々からが長い間大切にされてきたものです。
 ナチから守るため、その祭壇画が壇上から外されるのですが、その時の神父の悲しそうな顔が忘れられません。

 終戦間際になると、ヒトラーは集めた芸術品を取り戻されることを嫌って、もし自分が死んだら全てを破壊しろという命令(ネロ指令)をだしていたものですから、実際には燃やされてもうこの世に存在していな美術品も少なくないのだと思います
 映画の中でも、ラフェエロの「若い男の肖像」が燃やされているシーンがあり、胸が締め付けられる思いがしました。

 映画の中にでてくるナチの強奪品の中には、ダ・ヴィンチ、レンブラント、ベラスケス、マネ、ルノワール、モネなど有名な作品が目白押しで、フェルメールの「天文学者」が出てきた時には〝ついこの前観たばかりやん!燃やされてたら観られへんとこやった"と安堵と共にヒトラーに対して怒りを覚えました。

 多くの命が失われている戦争のさなかに、芸術品を守ってほしいと大統領に直訴したストークス(実際の人物はジョージ・スタウト)ですが、そんなことに人員は割けないので自分で守れということで、兵士には全く向いていないのですが美術を愛する美術専門家たちでモニュメンツ・メンを発足したのですが、よくぞ頑張って美術品を助け出してくれた!と、美術ファンとしてはモニュメンツ・メンに対し感謝でいっぱいです

 芸術や文化というのは人類の遺産であり、これから先にも残していかなければならないもの、また、それらの宝を独り占めしてよいものではないというような主旨のことを映画の中で言っていたのですが、本当にそのとおりだと思います。
 ですが、実際に戦争になってしまえば、なかなか文化財保護まで気がまわらないのも事実でしょう。
 平和が一番、戦争をおこさないようにするのが最も肝心なのでしょうね。
 でも、今も貴重な遺跡が破壊されている・・・

 モニュメンツ・メンの一員ではないですが、ジュ・ドゥ・ポーム美術館の学芸員のケイト・ブランシェット扮するクレールも強くかっこいい女性でしたよ
 盗んだ美術品を載せた列車が行くのを睨みながら仁王立ちする姿は、絶対取り戻してやるという気迫が漲っていました

 モニュメンツ・メンは、奪還した美術品を返せるところには元の持ち主や所属先に返還したのですが、個人蔵で持ち主が既に亡くなっていることも少なくなかった
ようで(ユダヤ人からの略奪が多かったため)、返還できなかったものも多かったみたいです。
 また、終戦時ソ連も回収に加わったので、ロシアやアメリカに美術品が多いのはそのせいかな?とチラッと頭を掠めました。
 両国とも開戦前からの蒐集も多いので邪推なのですけどね

 ジョージ・クルーニー監督・脚本・製作・主演で、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェットなど豪華キャストの割にはあまり評判になっていませんが、美術ファンにとっては必見の作品です。
 もう終わりかけみたいなので、お見逃しなく!

ミケランジェロ・プロジェクト 2014年 アメリカ プレシディオ ジョージ・クルーニー監督 118分
 なぜこの映画の評価が低いのかわからない、観れて良かったと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:83点

映画 「鑑定士と顔のない依頼人」&「ルートヴィヒ」

 楽しかったお正月&お休みもあっという間に終わって、いつの間にかもう9日。
 うちは職場まで遠いので早起きをしないといけないのですが、長期休暇でぐーたらしていたため休みボケしてしまい、仕事始めの日、電車の中で寝過ごしていきなり遅刻
 まだ正月ボケは直っていませんと書きたいところですが、初日からめちゃ忙しく、早くも仕事モード全開で疲れ果てています。
 次の連休は楽しみなのですが、休み明けのことを考えると手放しでは喜べないような。

 といきなりグチから始まってしまいましたが、この前の日曜に映画を2本観てきましたのでその感想を書きたいと思います。
 ただし、ネタバレもありますので、これから観に行かれる方はご注意を
 
 1本目は「鑑定士と顔のない依頼人」('14年1本目)です。

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 この映画は、凄腕の鑑定士でオークションの競売人でもある主人公が、パニック障害で外に出られない謎の女性から鑑定依頼を受けたことから始まるミステリー(になるのかな?)のお話です。

 まだ公開中の映画ですので、あまり詳しくは言えませんが、私はこの映画の結末は好きではないです。
 主人公の年齢から考えると、一時の夢の代償としてはあまりに大きすぎると思うのです。
 色のない人生が一気に薔薇色になり、あっという間にその色がなくなったばかりでなく、縋るものさえ失い真っ暗になってしまう。
 これが青年ならまだ立ち直ることは可能でしょうが、孤独な高齢者には残酷すぎるのではないのでしょうか。
 全てを失っても、夢を見られた方が幸せだろう?というのが、犯行を考える方の論理なのでしょうが、私にはそれが幸せかわかりませんでした。

 結末はさておき、美術競売人ということで、映画の中に様々な絵画が登場します。
 ロセッティが多かったように思いますが、ラファエロ、クラナッハ、ルーベンス、アングル、マネ、ドガ、モディリアーニ、それからついこの前観たルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」もありましたよ。
 ブーグローの絵もきれいだったなぁ

 話の進め方がスムーズですし、いろんなところに伏線があり、後半はなんとなくそうだろうなと予想はできてしまいましたが映画自体は面白かったと思います。
 それだけに、あの結末は残念でした。
 もう少し希望があれば良かったのですけどね。

 2本目は「ルートヴィヒ」('14年2本目)です。
 この映画は第4代バイエルン国王ルートヴィヒ2世の生涯を描いた映画です
 
 私は昔ルートヴィヒ2世に凝りまして、彼が建設したお城ノイシュヴァンシュタイン城、ヘレンキームゼー城、リンダーホーフ城を見にミュンヘンに旅行に行ったこともあります。
 それだけにこの映画はめちゃ期待したのですが、ちょっと内容が薄かったですね。

 ルートヴィヒ2世の生涯は謎が多いので、監督なりの解釈をつけて説得力のある話にしようと思えばできそうなのに、歴史的事実の表面をなでているだけで、それでどうなったの?と思う部分は、さっと時代が進んで次の段階になっているという感じであまり何も伝わってこなかったです。
 せっかく映画を作っているのに、ルートヴィヒに思い入れがないのかな?と思ってしまいました。
 ワーグナーの生誕200年を記念して作られたという割には、ワーグナーの描き方も浅かったですしね。 
 
 俳優さんは前半生と後半生とで別の人が演じていましたが、姿だけに関していえば後半生の役者さんセバスチャン・スキッパーの方が似ていたかな。
 前半のザビン・タンブレアも瑞々しかったのですが、私のイメージとしてはヴィスコンティ作品のヘルムート・バーガーの方が強いですね。
  
 衣装はルートヴィヒ2世が着用していたものを模倣して作られているようで、それを着るとどんな感じになるかがよくわかりましたし、ルートヴィヒ2世の3城をロケ地にした映像は美しかったです。
 またミュンヘンに行きたくなりました

 ルートヴィヒ2世は、プロイセンとの講和条約のために多額の賠償金の支払義務があるにもかかわらず相次ぐ城の建設で国内に恐慌が起こっていたため、当時のバイエルン首相ルッツらによって精神病患者とされ廃位させられました。
 でも、その城により今でもバイエルン州は多額の収入を得ているのですから、「狂王」と呼べるかどうか。
 歴史ってわかりませんね。

 美しい映像と音楽で、ルートヴィヒの生涯をたどれる映画ではありました。

 そういえば、オードリー・ヘップバーンの「マイヤーリング」が上映されてますね。
 マイヤーリングといえば、ハプスブルク帝国皇妃エリーザベト(彼女の従甥がルートヴィヒ2世)の息子のルドルフ皇太子のお話
 「うたかたの恋」が有名ですが、オードリーがでている作品は知りませんでした。
 なぜ、今頃なのでしょうね?

 話は変わりまして、昨年はそんなに数は多くなかったですが、ウルヴァリンやグランドイリュージョンなどの映画を観ました。
 感想は1本も書けませんでしたが、今年は少しは書けたらいいなと思っています
 
鑑定士と顔のない依頼人 2012年 イタリア ギャガ ジュゼッペ・トルナトーレ監督 131分
 タダより高いものはないという映画だったのねと思った、Ms.れでぃの勝手な映画採点:52点

ルートヴィヒ 2012年 ドイツ ブロードメディア・スタジオ マリー・ノエル&ピーター・ゼア監督 140分
 エリーザベト役はもう少し美人女優にしてほしかった、Ms.れでぃの勝手な映画採点:55点
プロフィール

Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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