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兵庫 神戸ファッション美術館「花のお江戸ライフ」展

 この前の週末は美術館巡りをしてきました。

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 7月中頃から8月前半にかけていろいろ忙しく、週末もあまり出かけられなかったので軒並み展覧会の会期終了間際になってしまい、今回記事にする神戸ファッション美術館で開催されていた「花のお江戸ライフ 浮世絵にみる江戸っ子スタイル」展('23.7.8~8.27まで。観覧料1000円)は記事が間に合いませんでしたが、面白かったので感想を記しておきたいと思います。

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 この展覧会はタイトル通り、浮世絵を通して江戸の文化や風俗を見るという内容です。
 北斎や広重、歌麿といった有名な浮世絵師の作品はもちろん出品されているのですが、作家別ではなく江戸の暮しをテーマに展示されているので、あまり知られていない浮世絵師の作品もあって楽しかったです。

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 この作品は歌川国芳と国芳の娘の歌川鳥女の合作「まゝがたべたい」です。
 国芳の娘さんも浮世絵を描いていたことを初めて知りました。

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 展覧会のテーマの中には「ペット」のコーナーがあったのですが、ねこの絵が描かれた浮世絵は数多くあります。
 こちらは月岡芳年の「うるささう」です。
 かわいいかどうかは置いといて、どの作品も一目見て「ねこ」であることがわかります。

 面白いのは犬。

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 渓斎英泉の浮世絵に描かれているこの生き物は犬?と思ってしまいました^^;
 他の浮世絵でも、もっとわからないものもいっぱいありましたよ。
 
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 明治時代に入ると、揚州周延のこの作品のように「犬」らしい犬になります(笑)

 思うに、江戸時代はペットとして飼われる犬は少なかったのではないでしょうか。
 飼われる犬種も「狆(ちん)」で、殿様クラスが飼っているだけで、庶民はほとんどお目にかかれなかったため写実的に描けず、上の渓斎英泉の絵のようになってしまったのではないかと思います。

 その点、ねこはネズミを捕ってくれるので、庶民の家でも飼われていたのでしょうね。

 ペットといえば、金魚も流行っていたみたいで、金魚が描かれた浮世絵もありましたよ。
 江戸時代は、「いぬ派」か「ねこ派」ではなく、「金魚派」か「ねこ派」だったのかもしれませんね^^

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 こちらは歌川広重の「両国納涼大花火」
 写真ではわかりにくいかもしれませんが、打ち上げ花火が描かれています。
 夏の風物詩といえば花火。
 それは今も昔も変わりませんね^^

 この展覧会は終わってしまいましたが、江戸時代の人々の暮らしの楽しみ方を見せてもらえた展覧会でした。
 写真撮影もOKで、太っ腹でしたよ^^

神戸ファッション美術館
 住所:神戸市東灘区向洋町中2-9-1 TEL:078-858-0050
 開館時間:10時~18時(入館17時30分まで)、
 休館日:月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)

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兵庫陶芸美術館「デミタスカップの愉しみ」展②

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兵庫陶芸美術館で開催されている「デミタスカップの愉しみ」展('23.6.10~8.27まで。観覧料1200円)がすごく良くて、写真撮影可だったので、2回に分けて紹介しています。

 前回のシノワズリからジャポニズム、伊万里焼の流れから、今回はアール・ヌーヴォー期の作品からです。
 アール・ヌーヴォーといえば、有機的な曲線と自然をモチーフとした優美な装飾が特徴です。
 ・・・ということが、会場の解説に書いてあります(笑)
 余談ですが、兵庫陶芸美術館の解説はいつもわかりやすいです。
 他で解説のわかりやすい美術館は、あべのハルカス美術館、福田美術館の解説も面白いかな。

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 話は戻りますが、こちらはミントンの「金彩ひなげし文 カップ&ソーサ―」です。
 ミュシャの絵の装飾のようで、豪華で美しいですね~。

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 アール・ヌーヴォーの後はアール・デコ
 アール・デコの特徴は幾何学的な模様や直線です(これも解説に書いてありますよ)
 シンプルで機能的になっていますね。

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 さてさて、こちらはノリタケ(オールドノリタケ)
 この作品が作られた時期が、アール・ヌーヴォーからアール・デコへの移行期ぐらいでしょうか。
 輸出用だと思いますが、なかなかド派手ですね(笑)
 でも、コーヒーカップなので、実際に見るとかわいいのですよ。

 あっ、カップの向きが逆さなのですが、これは後ろから写したものです。
 展示ケースが壁から離れているので、後ろからも見ることができます。
 前と後ろの模様が違うカップもありますし、後ろからの方が少し大きく写真を写すことができるものもありましたので、行かれる方は是非背面も見てみてくださいね^^

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 今回の展示品の中で珍しかったのがガラスのカップ&ソーサ―です。
 今まで何回かデミタスカップの展覧会を観てきましたが、ガラス製品はあまりお見かけしません。
 でも、ガラスのカップは影まできれいでステキです。

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 これなんかめちゃ凝ってますよね。

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 こちらはテニスセットといって、テニスやパーティーの時に飲み物とスナックを1つの器で持ち運べるようにと作られたものだそうです。
 なるほど、立っている時などは便利ですよね^^

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 形が面白いといえばこちら。
 蝶の形のカップ&ソーサ―です。
 きれいですが、実際に飲むとこぼれてしまいそうな^^;

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 カップの中まで丁寧仕上げられた豪華で美しいデミタスカップの数々。
 デミタスカップを通じて、当時の王侯貴族の趣味や流行が感じ取れ、優雅な気分を味わえる展覧会でした^^
 オススメです。 

兵庫陶芸美術館
 住所:兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4 TEL:079-597-3961
 開館時間:10時~18時(7月8月の土日祝は9時30分~18時まで。入館は各閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は開館、翌平日休館)、年末・年始(12/31・1/1)、展示替え期間  

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兵庫陶芸美術館「デミタスカップの愉しみ」展①

 昨日(8/16)の予告通り、今回は兵庫陶芸美術館で開催されている「デミタスカップの愉しみ」展('23.6.10~8.27まで。観覧料1200円)の紹介です。

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 この展覧会は村上和美さんという方の2000点に及ぶデミタスカップのコレクションの中から約380点を一挙に展示されるというめちゃ豪華な内容でした。
 それも写真撮影可!
 目がキラキラ、気持ちがワクワクの展覧会です^^
 どれも美しく、載せる写真も選びきれない程でしたので、2~3回に分けてお見せしますね。
 写真のピントが甘々なのはご勘弁を^^;

 19世紀ヨーロッパでは、コーヒー文化が浸透しいろんなデミタスカップが誕生したそうです。
 展覧会は歴史の流れに沿って展示されていました。
 
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 デザイン的には、ヨーロッパでジャポニズムが流行ったことは有名ですが、ジャポニズム以前に流行ったのが中国趣味の様式シノワズリです。
 写真はハンガリーのヘレンド窯のもので、左が「ゲデレー」で、右が「ヴィクトリアノワール」という名前が付いていました。
 ゲデレーは、オーストリア=ハンガリー帝国皇后のエリーザベトの別荘の名前だそうです。
 ヘレンドはエリーザベトの愛用の磁器であったことがよくわかりますね。

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 梅や竹などがデザインされているジャポニズムのデザインです。

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 派手~。
 なんかヨーロッパでは、日本のデザインに金を組み合わせるのが好きだったみたいです。
 キンピカなのですが、シブイ日本のデザインに不思議とよく合い、一挙に華やかになりますね。

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 伊万里焼にも金。
 ごちゃごちゃしているようですがきれいでした。

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 こちらは純正日本産のカップで、京薩摩の錦光山です。
 金に黒、外国人が好みそうな究極的な派手さですよね(笑)

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 この作品も純日本産で、加藤春光という愛知県の瀬戸で創業したカップ&ソーサ―なのですが、カップが外側が透けて見えるほどものずごく薄い。
 こんな繊細なもの、よく割れずに作れたなぁと思います。

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 こちらは日本製ですが、アメリカの商社を通じて、海外で販売されたものだそうです。
 今までのカップ&ソーサ―のデザインとは違いますね。
 当時のアメリカ人が好みそうなモダンなデザインです。
 作る日本人の方にも発想の転換が必要だったかもしれませんね。

 長くなってきたので今回はここまで。
 次回はまたヨーロッパに戻って、アール・ヌーヴォー期の作品から始める予定です。
 お楽しみに~^^

兵庫陶芸美術館
 住所:兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4 TEL:079-597-3961
 開館時間:10時~18時(7月8月の土日祝は9時30分~18時まで。入館は各閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は開館、翌平日休館)、年末・年始(12/31・1/1)、展示替え期間 

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京都 嵐山 福美&嵯峨文「橋本関雪」展

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 昨日(7/2)、嵐山にある福田美術館と嵯峨嵐山文華館で同時開催されている「橋本関雪生誕140周年 入神の技・非凡の画」展('23.4.19~7.3まで。観覧料:福田美術館1500円、嵯峨嵐山文華館1000円、2館共通券2300円)を観てきました。
 会期終了の前日で、この頃、どこも行くのがギリギリになっています(-_-;)
 もう1か所、白沙村荘との3か所同時開催なのですが、そちらの方までは行けませんでした。

 橋本関雪(はしもとかんせつ 1883-1945)は、明治・大正・昭和にかけて活躍した日本画家です。
 父が文人・儒学者であることから、幼少期から漢学を学び、絵は竹内栖鳳の竹杖会に入り、昭和9年には帝室技芸員に選ばれています。

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 「諸葛孔明」です。
 三国志の三顧の礼の場面を描いた作品です。
 関雪はどんな作品でも描けるオールラウンダーの画家とされていますが、山水画が迫力がありますね。

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 チラシにもなっている「木蘭」です。
 老病の父に代わり、娘の木蘭が男装して従軍し、異民族を相手に戦い、自軍を勝利に導いて帰郷したそうです。
 のちにお芝居や小説にもなって伝わっているお話だそうです。
 木蘭の服装を見ると遊牧民らしく、しっかり調べて描いたのだなと思いました。

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 こちらは「木蘭詩」の連作の一部なのですが、上の屏風の絵の「木蘭」は、木蘭詩の中にでてくる人物です。
 木蘭詩の連作を見ると、木蘭の大変さが伝わるようでした。

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 関雪は猿の絵もたくさん描いています。
 このおサルさんは「玄猿」です。

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 こちらは左が「玄猿図」、右が「岩上紅猿」のそれぞれ顔の部分図です。
 関雪の猿は表情が人間のようで、かわいいと思うと同時に深いなぁとも思います。
 また毛描きの緩急が繊細で、フワフワ感がよくでているところもすごいです。

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 嵯峨嵐山文華館の方では、畳の間に関雪の作品を観れるのが良いですね。
 この大きな屏風をこれだけの距離をとって観れるところはそうそうありません。
 「閑適」という作品で、チラシになっています。(アップは1枚目の写真の右図を見てくださいね)
 畳の色とよく合っていました。
 男性が座っている椅子、変わってますね~。
 こんな椅子があれば、私も座ってみたいかも(笑)
 
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 全体的に豪胆で迫力のある絵が多く、それでいて動物は繊細で、やっぱり橋本関雪はなんでも描ける画家だなと思った展覧会でした。
 
 ところで、嵐山は日曜だったからか、ボート遊びをしている人がいっぱい。
 保津川下りの再開も決定したので、水遊びを楽しむ人も益々増えるかもしれませんね。
 
福田美術館
 住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 TEL:075-863-0606
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(12/29~1/1)
 
嵯峨嵐山文華館
 住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11 TEL:075-882-1111
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで) 休館日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/1)、展示替期間

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京都国立近代美術館「Re:スタートライン1963-1970/2023」展

 少し前になりますが、京都国立近代美術館で開催されている「Re:スタートライン1963-1970/2023」展('23.4.28~7.2まで。観覧料1200円)を観てきました。

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 京都国立近代美術館では、開館時の1963年から1970年まで、現代アートを紹介する「現代美術の動向」展を毎年開催されてきたそうです。
 開館60周年を記念して、1960年代の美術館とアーティストが切り結んだ美術の現場のスタートラインを検証する展覧会とHPに書いてありました。
 が、これを読んでも、私もよくわかりません(苦笑)
 まぁ、近美と現代アートの変遷展という感じの展覧会でした。

 年代ごとの章立てになっていて、章解説はしっかりしているのですが、作品にキャプションがないため、作品と解説が結びつかず、あまりわかりませんでした。
 現代アートは感覚だけで見るには難しく、作品の観察ポイントを示してほしかったです。

 本展覧会の撮影は禁止だったのですが、コレクション展の方は撮影可の作品があったので、この時代の代表的な画家の作品を2枚だけ載せておきます、

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 白髪一雄(しらがかずお 1924-2008)さんの「天暴星両頭蛇」です。
 以前、奈良県立美術館で開催された展覧会(その時の記事はこちら)の時にも紹介した、アクションペインティングで有名な画家です。

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 こちらは吉原治良さんの「作品(黒地に白円)」です。
 吉原治良(よしはらじろう 1905-1972) は、吉原製油(現J-オイルミルズ)の社長でもあった人で、具体美術協会の創設者です。

 今回の展覧会のテーマである1963年から1970年の現代美術の中心となっているのが、具体美術協会の作家です。
 戦後社会状況が安定し、更なる飛躍の勢いがある時代。
 既存の芸術では飽き足らず「人の真似をするな。今までにないものをつくれ」という吉原治良の指導のもと、とにかく新しい作品を作るために模索したのがこの時代の現代芸術といえると思います。
 現代アートは時代を反映して発展してきた、時代背景と切り離しては考えられない芸術であるため、今後の現代アートがどう変化するのかをみるために、原点(スタート)である具体美術協会の作品に焦点を当てたのかなと思いました。

 ただ、新しい物の追求って、必ずしも美を伴っているとはかぎらないので、見ていて楽しいかといえばそうでもない(笑)
 とくに私はきれいなものを見たいという欲求が強いので、新しい芸術より伝統的な美の方が好きです。
 まぁ、美の基準というのも人によって違うので、一概にはきれいでないとは言えませんけどね。
 それにその時代のことをよく知らないと、何が新しかったのかもピンとこないこともあるので、やっぱり見所解説は必要だと思います。
 でも、新しいことを考え出すということは、お手本がないわけですから、ものすごく大変なことだということはよくわかった展覧会でした。

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 1階のロビーには、近美で開催された展覧会のポスターがずらり!
 「見た見た!」と思う展覧会もあれば、「こんな展覧会もあったんや。もう一度やってくれへんかな~」と思うものもあり、ポスターだけでも楽しめました。
 このポスターは12/17まで展示されていて、1階のロビーだけなら無料ですよ^^
 
京都国立近代美術館
 住所:京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL:075-761-4111
 開館時間:10時~18時(金曜は20時まで。入館は各閉館の30分前まで)
 休館日:月曜(月曜日が休日にあたる場合は開館し、翌日休館)、年末・年始、展示替え期間 

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Ms.れでぃ

Author:Ms.れでぃ
主に関西で開催されている展覧会を観に行っています。
ゆるゆる感想を書いていきたいと思います。
ローカルネタになりますが、訪問していただけるとうれしいです。

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